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大きく跳んだ僕の身体が、身体を起こそうとしていた柚葉にぶつかる。
咄嗟に両手を広げた柚葉が、僕の身体を受け止めて後ろにひっくり返った。
「あっ!…つぅ」
僕は、蹴られて痛むお腹を押さえて「ごめん…」と柚葉に謝る。
「い…ってぇ…。え?あ…」
「柚葉?大丈夫だった?」
「…う、うん…っ。てか、え?なんだよ、アイツ…。こわい…」
「柚葉…」
僕の下にある柚葉の身体が、カタカタと震えている。さっきから話す声も震えていて、かなり動揺しているみたいだ。
僕は、柚葉の上から退いて隣に座ると、小さく震える肩を掴んで、顔を覗き込み目を合わせた。
「柚葉、しっかりしてっ。僕がアイツを引き止めるから、その間に柚葉は逃げて」
「えっ?で、でも、青藍は…っ」
「…大丈夫。何とか持ちこたえる。だから、学校に戻って助けを呼んで欲しい。わかった?わかったら、今すぐに飛んでっ」
「…っ」
柚葉の顔が歪むくらいに、強く肩を掴んで離す。
柚葉は数秒、僕の顔をジッと見つめていたけど、徐に立ちあがると、閉じていた翼を広げて空高く飛び上がった。
すぐさま男が柚葉に向かって両手を伸ばし、術を繰り出そうとする。
「待てっ!」
僕は、右掌を男にかざして、大声を上げた。途端に男の動きがピタリと止まり動かなくなる。その隙に柚葉が、学校の方角へと飛び去って行く。
あっという間に姿が見えなくなった柚葉に、僕はホッと胸を撫で下ろして手を下ろした。そして、まだズキズキと痛む肩とお腹に手を添えると、ゆっくりと立ち上がった。
身体の拘束が解けた男が、ザクザクと土を踏んで僕に近づいて来る。
男に気圧されて少しずつ後ろに下がった僕の片足が、ズルリと背後の斜面を滑って、慌てて二三歩前に出た。
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