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学校が終わり、寮の部屋に帰って部屋着に着替えていると、ドアがドンドン!と激しく叩かれた。
「はぁ…馬鹿力…」
僕はTシャツの上にバーカーを羽織ると、ドアまで行き取っ手を掴んで勢いよく引く。
「うわぁっ」
再びドアを叩こうとしていたらしい天清が、前によろけながら部屋の中へと入ってくる。よろけた勢いのまま僕に抱きついて、首に鼻をスリスリと擦り付けた。
「ちょっ、やめろっ。こそばゆいから…っ。このバカ狐っ!」
「ごめん。だって青藍が急にドアを開けるから悪いんだよ?ふふっ、青藍はいい匂いがする。俺の大好きな匂い…」
「ばっ…かじゃないのっ?もういいから早く離れろってっ」
まだ僕に抱きついたままの天清の顔を、グイと押して離させる。
天清は、すごく不満そうな顔をしたけど、幼馴染だからと言って、過度なスキンシップはいい加減やめて欲しい。つい勘違いしてしまいそうになって、苦しい。
ーーこういうことは、あの時の、キスをしていたあの子とだけすればいいのに…。
僕は軽く天清を睨んでから、ドアを閉めてさっさとテーブルの傍に座った。
天清もすぐに僕の後についてきて、腕が触れそうな距離に腰を下ろす。
僕は、小さく溜息を吐きながら頬杖をついて、天清を見た。
「な、何?青藍…」
「早く問題集出して。教えて欲しいんだろ?」
「そうだけど…。もうやる?ちょっと話したりとか…」
「話してもいいけど、やるべきことが終わってからだよ。ほら、早く出して」
「…はい…」
シュンと項垂れた天清が、ノロノロと鞄から問題集を取り出す。その様子がまるで耳の垂れた大型犬のようで、僕は思わず手を伸ばして茶色い髪の毛を撫でていた。
「青藍…、それ、気持ちいい…」
「え…?あっ…」
嬉しそうな天清に見つめられて、僕は慌てて手を引っ込める。髪の毛に触れていた右手を左手で握って、「ど、どこがわかんないんだよっ」と、誤魔化すように大きな声を出した。
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