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「それは…」
僕の視線を受けて、父さんが口ごもり視線を逸らす。
僕は立ち上がると、部屋の入り口に立っていた浅葱を見た。
「えーと…、鉄さま、話してもいいですか?」
「まあ…、隠しておけるものでもないしな。おまえが話してくれ」
「わかりました。あのですね、青藍様…」
座卓の傍に正座した浅葱に手招きされて、僕も浅葱の隣に正座する。
浅葱が言いにくそうに話した内容は、こういう事だった。
今日の昼、父さんと妖狐一族の当主である、天清の叔父さんの真葛宗忠が、お互いが人間界で展開している会社の取引の為に、真葛家所有の料亭で会っていた。
初めは和やかに話し合いが進んでいたけど、途中から天狗一族をよく思わない妖狐の一人が、銀おじさんのことを話し出したらしい。
曰く、そもそもの当主になる予定だった銀おじさんが、男の為に当主の座を降りて、しかもその人間の男と籍を同じくして暮らしているとは、天狗一族の恥ではないのか、と。
父さんは、銀おじさんの事はもちろんだけど、凛を悪く言われた事に腹を立てた。
だけど一介の妖狐が嫌がらせで言った言葉に、いちいち反応するのも馬鹿らしい。だから黙っていたら、これに怒った天狗側の一人が言い返してしまった。
曰く、妖狐一族の当主、真葛宗忠は、その恥の原因だと言う人間の男に横恋慕しているのではないかと。
それを聞いて僕は驚いた。
凛は、33才になった今でも、若々しく可愛らしい。
だから昔からよく、モテていたのは知っていた。
だけど、妖狐の当主にまで?妖狐の当主は、天清の父親の兄だ。天清の父親と仲の良い凛だから、何かしらの関わりはあったのだろう。そこで、彼は凛を好きになったのだろうか?
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