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柚葉と駅で別れて、僕は凛の家へと帰る。
数年前に改築して新しくなった玄関扉の鍵を開け、中に入りながら「ただいま」と声をかけた。
「おかえり、青藍。クラスどうだった?」
すぐに奥のドアが開いて、凛が出てくる。白い薄手のセーターにスキニーのジーンズ姿の凛は、30の半ばだというのに、まだまだ20代と言っても通じる程に若々しい。
僕の方に手を差し出した凛に鞄を渡すと、靴を脱いで玄関を上がりながら笑って答えた。
「ほとんど去年と同じだよ。理系の選択科目でクラス分けされるからね」
「そうなんだ。俺は文系だったから理系のことはわからないよ」
「まあ、そんなもんだよ。ところで凛、休んでなくて大丈夫なの?」
凛は、2、3日前から風邪を引いて、熱を出して昨日まで寝込んでいた。今日の朝には熱も下がり元気になって家事をこなしていたけど、銀おじさんが心配して会社を休ませたのだ。
「もう大丈夫。全然元気だよ。まだ喉がちょっと痛いけどね…」
「家のことは僕がするし、まだ休んでてよ。僕がいるのに凛を働かせたら、銀おじさんに怒られるし」
「 銀ちゃんは心配し過ぎなんだよ。寝込んでる俺にピタリとくっ付いてさ、逆にゆっくりと休めなかった…」
唇を尖らせる凛が可愛くて、僕は思わずクスリと笑う。
僕は凛から鞄を受け取ると、「着替えてくる」と言って、2階へと上がった。
部屋着に着替え終わると、下に降りて洗面所で手を洗い居間に入る。テーブルの上に湯気の立つ炒飯とわかめスープが並べてあって、凛と向かい合わせに座って食べ始めた。
今日は始業式で新学年になってからの初めての登校だった。
始業式が終わって教室に戻る途中、中学からの友達で蛇の妖の光穂(みつほ)が、僕と同じクラスになったことを喜んで、僕の方を向いて話しながら後ろ向きで歩いていた時だった。他のクラスの、たぶん僕のことが気に入らない妖にぶつかって、僕の方へ倒れてきた。
咄嗟に光穂を受け止めた僕は、肩の古傷を痛めてしまい、保健医の朝霧先生の所へ治してもらいに行ったのだ。
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