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天清が、靴を飛ばして駆け上がって来て、僕にカバリと被さる。加減をしているけど、ぎゅうぎゅうと強い力で抱きしめられて、僕は天清の背中を軽く叩いた。
「天清…苦しい。それにまだ痛むから、離して…」
「あっ…!ご、ごめんっ!青藍に電話したら銀さんが出て、怪我したって聞いて…っ」
僕から身体を離したけど、すぐ間近に顔を寄せて天清が泣きそうな声を出す。いや、実際泣いてるみたいで、僕の顔に数滴雫が落ちた。
「そっ、それに、なんで先に帰るんだよっ。俺が一緒だったら、身を呈してでも青藍を守ったのにっ!」
「…心配かけてごめん。今日は天清が来る日だから、部屋の掃除をしておきたかったんだ。それに、僕は強いから大丈夫…って慢心してた。まさか人間にやられるとは思ってなかった…。しかも、あんなに強い武器があるなんて…」
天清が、やっと落ち着いたのか腕で濡れた顔を拭うと、周りにいる凛や銀おじさん、倉橋さんや神使を見た。
「天清くん、青藍は大丈夫だよ。まあ、ひどい怪我だったけど、この神社で倒れたことが幸いした。この神社の神主の倉橋と、神使の白様のおかげで命も助かったし傷もだいたい治る。でも、もしかしたらまたその人間が襲ってくるかもしれない。早急に何か対策を練らないと…」
「凛さん、ありがとうございます。倉橋さんと白様も、ありがとうございます」
天清が、畳に額を擦りつけてお礼を言う。その姿を見て、神使の白様が、眉毛をピクリと上げた。
「おまえ…、妖狐の清忠の息子だと聞いたが…。あいつとは似ても似つかぬ出来た息子だな。うむ、気に入った。困った時は、私の所へ来い。助けてやるぞ」
「白…、またそんなことを言うてる。真葛のことも結構気に入ってたやろ?え~と、天清くん。またいつ襲ってくるかわからん人間の為に、ずっと家にこもってるわけにもいかんやろ?これを持っとき。青藍くんも。この中にお札が入ってる。ふふっ、普通は妖が寄りつかんようにお札を作って、取り憑かれやすい人間に渡すんやけどな、まさか、人間が寄りつかんように妖にお札を作って渡すとは思わんかったわ」
倉橋さんが、僕と天清の手に綺麗な布で作られたお守りの袋を乗せた。
そして小さめの紙袋を出してきて、凛に渡す。
「椹木、この中にたくさんお札が入っとる。一ノ瀬さんや真葛かって危ないやろ?この辺にいる妖に配ったって」
「わかった。ありがとう、倉橋」
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