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「はじめまして。僕は、一ノ瀬 青藍と言います。知ってるかとは思いますが、一ノ瀬 鉄の息子です。天清くんとは、仲良くさせてもらってます」
顔を上げて一息に喋ると、もう一度軽く頭を下げる。
妖狐族の長だという宗忠さんは、清忠さんよりも少し低めの声で、「はじめまして。真葛 宗忠だ」と挨拶をした。
「今回は、天清を守って怪我をしたのだと聞いた。天清は、俺の可愛い甥だ。俺からもお礼を言う。ありがとう」
「いえ、とんでもないです。僕はどうやら頭で考えるよりも先に身体が動いてしまうみたいで…。まだまだ未熟で恥ずかしいです…」
「ふっ…、君のような後継ぎがいて、天狗族は幸せだな」
宗忠さんに褒められて、気恥ずかしくなりそっと目線を逸らす。その時、宗忠さんの隣に座る人物と目が合い、少しだけ首を傾げた。
ーーこの人…人間だよな?なんでここにいるの?
僕の考えていることがわかったのか、宗忠さんが微かに笑う。
「後で説明しようと思っていたのだが、やはり最初に紹介しておくべきだったな。この人は、人間だ。君を襲った男の身内だ」
「…え?」
僕は驚いて、男の人の顔を凝視する。
そう言われてみれば確かに、あの男とどことなく似ている気がする。
でも待って。あの男が退魔師ということは、この人も同じなんじゃ…。
僕に見つめられた男の人が、ニコリと微笑んで右手をこちらへ差し出した。
「はじめまして。僕は谷田部(やたべ)と言います。この度は、うちの甥が申し訳ないことをしたね。とりあえず君の怪我が治ったと聞いて、安心したよ」
「あ、はい、はじめまして…。ところであの人は…」
僕も右手を出して、軽く握手をしながら尋ねる。
「こちらの真葛さんに連れられて倉橋神社に行ってね、大変なことになってて驚いたよ。甥は…舜(しゅん)と言うのだけどね、一緒に来ていた家の者二人に連れて帰らせて、部屋に閉じ込めてある」
「…そうですか。あの、僕も術で動けなくしてしまったんですが、大丈夫でしたか?」
谷田部さんが、僕の背中を軽く押して、机の前の座布団に座るように言う。
谷田部さんも僕の隣に座ると、とても優しく微笑んだ。
「ふふっ、君、舜に怪我させられたんでしょ?なのに、心配してくれるの?優しいね」
「…いえ、でも、妖の力はやはり人間にとっては強いものだと思うので…」
「うん、そうだね。でも大丈夫だよ。家に着く頃には、身体に巻きついていた蛇も身体の硬直も解けて、何の後遺症もない」
咄嗟に強い術を出してしまったと心配していたから、僕は安堵の息を吐いた。
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