アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
僕が朝霧先生を伴って居間に戻ると、天清が仁王立ちで先生を睨みつけた。
「あんた、何しに来たんだよっ」
「何しに…って、用事があるから来たんだろうが。はは~ん、そっか…、おまえら、お楽しみ中だったんだな。いやぁタイミングよく来ちゃったね。悪ぃ」
「お楽しみ中…ってっ。おっさんくせぇこと言いやがって!早く用事を済ませて帰れよ。青藍も、何でこんな奴家に上げるんだよっ」
「おっさん…」と呟く朝霧先生に椅子を勧めて、僕は天清に「ごめん」と謝る。
僕が謝ると、途端に天清は狼狽えて、「い、いや、青藍の家なんだから別にいいんだけど…っ」と呟いて、その場に座り込んだ。
単純な天清に、思わず笑ってしまう。
天清は、僕との甘い時間を邪魔されたことが、気に入らないだけなんだ。
僕だってそうだ。勉強も終わったし、今からは恋人らしいことをする時間と思っていたから、正直残念だ。
でも、先生が来た理由は、前に僕が頼んでいたことだから。だから、無下に帰れとも言えなかった。
「てか、先生さぁ、電話でも良かったんじゃないの?」
「真葛…おまえ、本当に俺に対して態度が悪いね。言われなくとも電話したさ、何度も。でもちっとも出ないから、こうしてわざわざ出向いたんだろ?」
「…今テスト期間中なんだから、テストが終わってからにしろよ」
「ああ言えばこう言いやがって。うるせーなあ。じゃあ、おまえは俺のことは気にせず、勉強してればいいだろ」
「ふふんっ、とっくに終わってるもんね!これから青藍とハンバーグ作るんだし、早く帰ってくれよな!」
「ちっ…、ガキが」
永遠に続きそうな二人の言い合いに、僕は小さく溜息を吐きながら天清の隣に座り、天清の手を軽く握って先生を見上げた。
「それで?この前に頼んでいた話だよね?」
「…そうだ」
先生は、繋いだ手を見て一瞬眉間にシワを寄せたけど、すぐに元に戻って話し出した。
「十五年前に妖が人間を襲った事件があったか、と言う話だが。十五年前と言やあ、俺もまだ子供だ。妖の学校に通ってたし、人間側のことはよくわからない。ただ、蛇の一族は、おまえら天狗や妖狐みたいに郷を持ってなくて、全国に散らばって住んでいる。だから、一応俺の両親やその兄弟に聞いてみたんだ。そうしたらな、おまえの探してる事件かどうかわからないが、そんなことがあったという話が出た」
「え?」
僕は、天清の手を強く握って、ゴクリと唾を飲んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
128 / 207