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凛から鬼の話を聞いた週の土曜日の朝、僕が欠伸をしながら居間に入ると、凛と銀おじさんが、心隠さんの家を探しに行くと言い出した。
「それなら僕も学校が休みだし予定もないから一緒に行く!」
一瞬で目が覚めた僕は、そう叫びながら洗面所に駆け込んだ。急いで顔を洗って歯を磨き髪を整えて、「待っててよ!」と言いながら二階の部屋へと戻る。
これまた急いで着替えると、階段を駆け下りて居間へ飛び込んだ。
「はあっ、はあっ…、準備出来たよっ。行こっか」
「あははっ、青藍、俺達今から朝食を食べるから、まだ出ないよ?ほら、青藍も朝はしっかり食べないと。座って?」
「え?そうなの?…すぐ出るのかと思った…」
脱力してどさりと椅子に腰掛けた僕の目の前に、湯気の立つ味噌汁とご飯が置かれる。だし巻き玉子と鮭の塩焼きの皿を並べながら凛も座って、「頂きます」と手を合わせて皆で食べ始めた。
朝食の後片付けを終えて、もう一度歯を磨いていると、インターフォンが鳴る音が聞こえた。
休みの日の朝に誰が来たんだと玄関を覗くと、凛が「さすが早いなぁ」と言いながら玄関扉の鍵を外して開ける。
「あれ?天清?」
「おはようございます、凛さん!あっ、青藍おはようっ!」
「おはよう。ふふ、朝から元気だね」
そこには朝からとても元気な天清が、笑顔でリュックを背負って立っていた。
「凛、天清も呼んだの?」
「そうだよ。勝手に青藍を連れ回したら、天清くんに怒られるからね」
洗面所から出て来て凛に聞くと、凛が笑いながら頷く。
「呼ばれなくても、今日は朝から青藍に会いに来るつもりだったけどなっ」
「…なんで?」
「会いたいから」
さらりと恥ずかしいことを言われて返事に困っていると、奥から銀おじさんの声がした。
「天清、すぐ出るからそこで待ってろ。凛、青藍、早く支度をするぞ」
「あ、うん。天清くん、ちょっと待っててね」
「はい。慌てなくても大丈夫です」
凛が先に居間に戻り、僕は天清の前に立つ。
僕は玄関を上がった所に立っているから、いつも見上げている天清を、僕が見下ろす格好になっている。
「どうしたの?青藍は準備終わったの?」
首を傾げる天清の肩に手を置くと、僕は顔を寄せて、天清の少し開いた唇にキスをした。
「すっ、すぐに支度して来るからっ!」
数秒押し当ててチロリと舐めて顔を離すと、そう言い置いて踵を返す。居間に入る直前に見た天清は、唇に手を当ててプルプルと震えていた。
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