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銀おじさんは、凛の頭にキスをすると、屋根の上に鋭い視線を投げた。
「…おまえ、男か?心隠によく似た女のような顔をしている」
「俺は男だ。女に間違えられるのは不本意だ」
「そうか。それは申し訳なかった。ところで、本当に心隠の居場所を知らないのか?俺達は敵ではない。危害を加えるつもりもない。ただ話をしたいだけだ。だから、知ってるなら教えて欲しい」
「…本当に知らない。なんなら俺も教えて欲しいくらいだ」
「…この家、ずいぶんと廃れているが、いつから放置しいる?心隠は、いつ頃からこの家を離れている?」
「…天狗と妖狐。そこの人間は心隠に助けられたと言ったが、おまえ達はなぜここに来た?」
銀おじさんの問いには答えずに、男が違う質問をする。
「この人は、俺の嫁だ。心配だから一緒に来たのだ」
「僕は親戚です。家族みたいなもんです。そもそもは僕に関わることで心隠さんに聞きたいことがあったから、頼んで心隠さんを一緒に捜してたんです」
「俺も家族だ。心配だから着いて来た!」
僕達の話を聞いて、男がふわりと地面に飛び降りた。
二歩三歩と近づき、僕達の前で止まる。
間近で見る男は、やはり人形のように整った顔立ちで、とても綺麗だった。
「ああ…、近くで見るとやっぱり心隠さんにそっくりだ。もしかして君は、心隠さんの…」
「違う。子供ではない」
「そっか…」
凛が男に向かって伸ばしかけた手を、行き場なく彷徨わせてそっと下ろした。
「ここにはいないとわかったんだ。早く帰ってくれ」
男が素っ気なく言って、背を向けて去ろうとする。
僕は慌てて、「待って!」と声をかけた。
「まだ何か?」
「はい。…ねぇみんな、この人も鬼なら、この人に聞いてみてもいいんじゃないかな?」
「まあ…そうだな。でもおまえと同い年くらいだぞ。あのことを知ってるだろうか?」
「でもせっかく会えたんだし、一応聞いてみようよ」
「そうだな」と銀おじさんが頷くのを見て、僕は男に近づいた。
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