アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12
-
「天清、なんて顔してんの」
「凛さん…大丈夫だった?青藍も大丈夫?」
「僕?」
天清が僕の傍に来て、ふわりと抱きしめた。
「だって青藍、凛さんが大好きだろ?その凛さんが辛そうにしているのは、青藍も辛いだろ?」
「まあ…そうだけど。でも、本当に辛いのは凛だよ」
「うん…。凛さん、一ノ瀬さんに怒られるのかなぁ」
「銀おじさん、普段は凛に本気では怒らないけど。今回は危うく喰われかけたからね。初めて本気で怒るかもしれない…」
「怖っ!絶対怖いっ!凛さん大丈夫?」
「ふふ、大丈夫だよ。怒ってもすぐに甘やかすんだよ、銀おじさんは。凛が大切で仕方ないんだから。あ、そうだ。凛が二人で食べてって。冷めないうちに食べよう」
僕は天清の胸を押して離れ、テーブルの前の椅子に座る。隣に天清も座って、手を合わせてピザを食べ始めた。
「凛さんの為にも、あの心隠っていう鬼が正気を取り戻せればいいんだけどな。どうしたらいいんだろ」
「正気に戻ったとしても、心隠さんは人間を殺めているんだ。このまま何事もなく終わらせる訳にはいかない。妖界にもルールがある」
天清は、三口で全て口に入れたピザを咀嚼すると、お茶で流し込んでまた情けない顔をする。
僕は、苦手なトマトが入っていたことに渋い顔をしながら、ピザをよく噛んで飲み込んだ。
「じゃあ心隠さんが正気に戻ったとして、どうなるんだ?」
「わからない。ここ何十年もの間、人間に害をなした妖はいたみたいだけど、殺めた妖はいないだろ?でも一番可能性があるとしたら、今のまま地下牢に閉じ込めて外に出さないことだろうな」
「そっか…。おかしくなった原因が人間側にあったとしても、犯した罪は罪だからな。それで苦しんでる人もいるしな。あいつ…舜だってそうだもんな…」
「そうだね…」
二人して黙り込み、もくもくとピザを食べた。
三分の二を天清が、残りを僕が食べて皿やコップを洗っている時だった。
インターフォンが鳴って、玄関横の襖が開く音がする。
僕は慌てて濡れた手を拭くと、居間を飛び出した。
「凛!ダメだよっ!まだ寝てなきゃっ!」
「…もう大丈夫だよ。それに、誰か来たみたいだし…」
「いいって。僕が出るから寝てて!銀おじさんが帰って来るまで起きたらダメだからねっ!」
「ふふ、わかったよ。じゃあ頼んだよ」
ちゃんと凛が布団へ戻ったのを確認して襖を閉める。
もう一度鳴ったインターフォンに返事をして、玄関扉を開けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
164 / 207