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心隠さんが、身体を起こして舜くんと向かい合った。
舜くんが素早く組んだ両手を、心隠さんが上から右手で押さえる。
「あ?俺に触るんじゃねぇ!離せよっ!」
「ちょっと落ち着こうか。ここは俺の家ではない。迷惑をかけられない。君の相手をしてやるから、場所を変えよう」
「どこに行くんだよ。あんたの領域内には行かないぜ」
「ちょうどいい場所がある。ついて来い」
そう言って、心隠さんが玄関を降りて出て行く。
舜くんが慌てて靴を履き、心隠さんの後を追いかける。
谷田部さんも急いで出て行って、続いて僕も行こうと玄関を降りた。
「青藍、待てよっ。俺も行く!」
「天清は、おじさんを呼びに行ってよ」
「父さんには電話入れとくから。あんな危ない奴らの所に、青藍一人で行かせられない」
「谷田部さんもいるから大丈夫だし…」
玄関で靴を履く天清を、僕は小さく息を吐いて見た。
天清の隣に凛も来て、靴を履き出した。
「え?凛、何してるの?」
「俺も行く」
「ダメだよっ!危険だから凛はここで待っててっ」
凛が、僕の顔をじっと見つめる。
あまりにもまっすぐ見てくるその目に負けて、僕は諦めの溜息を吐いた。
「凛は頑固だね…」
「うんそうだよ。知らなかった?青藍…、俺は、しっかりと二人を見届けたいんだ。だって、心隠さんは…きっと…」
「心隠さん、なんかすっきりした顔をしてたよね。覚悟を決めた顔だった」
「うん…。心隠さんがどうするのかわからないけど、俺は見たい。だから行くよ」
そう言って、凛が玄関を出て行く。その後ろを僕と天清、そして朝霧先生が続いた。
門を出ると、二人の姿はもう見えなくなっていた。
僕は「早く行こう」と言って、走り出した。
空を飛んで行けば早いのだけど、昼間の明るい中を飛べば、人間に見つかって大騒ぎになってしまう。
だから、僕達よりも体力の無い凛を気遣いながら、心隠さんの匂いをたどってある場所に向かった。
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