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心隠さん達を見送って、凛の家に戻って来た。
天清と先生は、一族に報告すると言って、凛の家の前で別れた。
僕は、神社からずっと繋いでいた凛の手を引いて家に入り、居間にある椅子に座らせると、甘いミルクティーをコップに入れて凛の前に置いた。
「凛、大丈夫?銀おじさんが帰って来たら、全部話すからね?その後父さんにも報告するよ?」
「うん…わかってる。青藍ごめんね。巻き込んでしまったね…」
「全然。僕は何もしてないし出来なかった。凛、これを飲んだら休んでよ?家のことは僕がやるから」
「うん、そうする…」
凛は、力無く笑いながら頷くと、ゆっくりと時間をかけてミルクティーを飲んで、部屋に戻った。
凛が部屋に入ったのを確認すると、僕は座布団を枕に寝転んで天井を眺めた。
ーー凛の気持ちや心隠さんのことを思うと、このままでいいんじゃないかとも思う。でも、僕が黙っていても、もう既に天清や先生が報告してるだろう。…心隠さんには、どんな処罰がくだる?規則では、人間を殺めた時点で死罪だ。でも、心隠さんの妹が先に殺されている。そのことも考慮されて、なんとか死罪は免れて欲しい…。
悶々と考え込んでいたら眠ってしまい、帰って来た銀おじさんに起こされて飛び起きた。
家のことは僕がすると言っておきながら何もしてないことを謝って、慌てて洗濯物を取り入れて風呂掃除をした。
その間に銀おじさんが出前を頼んで、凛の様子を見に行った。
バスタブの中を洗いながら、耳を澄ませて二人の様子を伺う。妖は集中すれば、幾重もの壁に遮られた中にいる人の声も、聞き取ることが出来る。
事の顛末を説明する凛の震えた小さな声と、合間に相槌を打つ銀おじさんの優しい声が聞こえる。
僕は、凛と、最後に凛に想いを告げた心隠さんを思って、溢れそうになる涙をごまかすように、スポンジを強く擦り付けた。
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