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藤隠の舌打ちを聞いて、天清の頬がピクピクと震える。
「あれ…?気のせいかな?今舌打ちが聞こえたような…」
「気のせいじゃねぇ。おまえが生意気にもわかった風な口を聞くからだ。何も知らねえのに勝手なこと言ってんなっ」
「はあ?あんたが今にも泣きそうだったから、慰めてやったんだろっ?青藍っ!俺やっぱりこいつ嫌いだ!舜も嫌いだっ!」
「嫌いで結構。俺は他種族と仲良くする気はない」
「ふーん?じゃあ青藍とも仲良くするなよ?」
「…ぐぅっ、…せっ、青藍は別だ」
「なんだと…っ!」
「二人ともっ!やめないともう二度と家に上げないよっ!」
僕の声に二人の動きがピタリと止まる。
天清は泣きそうな顔で、藤隠は険しい顔で、怒って立ち上がった僕を見た。
「もうっ、何なの?僕は皆と仲良くしたいんだけどっ」
「青藍…、だってこいつが…」
「天清は舜くんとも喧嘩しそうになってたよね?仲良く出来ないならもう部屋に上げないよ?」
「ご…ごめん。気をつけるからそんなこと言うなよ…」
一気にしおらしくなった天清の手を握り、「約束だよ」と目を合わせると、天清は瞬時に満面の笑顔になって頷いた。
一つ息を吐いて藤隠を見ると、藤隠がビクリと肩を揺らして目を逸らす。
「藤隠…」
「わ、わかったよっ。俺も悪かったっ、ひねくれてたっ。…俺、友達少ないし、本当は二人と仲良くしたい…っ」
「ふふ、だったら最初からそう言えばいいのに。これからもいつでも遊びに来て」
「藤隠…、よかったら俺の家にも遊びに来いよ。俺もあんたと同じ半妖で、父親が妖狐で母親が人間なんだ」
藤隠が勢いよく顔を上げる。
「えっ?本当にっ?俺以外の半妖に初めて会った…。なんだ、早く言ってくれよっ。仲良くしような、天清!」
「え?あ、うん…」
立ち上がった藤隠に、肩を掴まれて揺らされて、天清が戸惑っている。
藤隠の変わり身の速さに、僕は声を立てて笑った。
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