アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
清四郎が社長!? ー秀ー
-
「お客さん、着きましたよ。」
タクシーを降りたそこは間違いなく清四郎の言っていた「セントラル・オフィス」なのだが…。
超高層のオフィスビルが建ち並ぶここ一体でもおそらくダントツで大きいのではないか。
というか、清四郎はこんなところで働いているのか。
周りを見渡せばスーツでカッチリと決めたサラリーマンが出たり入ったり。
「…すっげ………。」
とりあえず清四郎に電話をすれば、今ちょうど手が離せないため受付に行って自分のところまで案内してもらって来てほしい。と言う。
言われた通り、ガラス張りの玄関を入ると天井の高い広々とした空間が広がり、受付を目指した。
可愛らしい制服を着た若い女性が笑顔で出迎える。
「本日はどのようなご用件でしょうか??」
「あの、楠 清四郎に届け物があって…本人に呼ばれたのですが。」
「楠………ですか…??」
何故か急に女性の声が険しくなった。
そして、女性は俺のことを上から下まで見るのだった。
「はい。」
「……あの失礼ですが、アポイントメントはおとりになってますでしょうか??」
「ついさっき、電話で受付に案内してもらって来いと言われたんですが…。」
「お名前は??」
「宮下 秀です。」
「宮下様……本日、そのような来客予定はございませんが…。」
「いや、でも届け物があって…。」
「そう言われましても、ご案内は致しかねます。」
どうしようかと項垂れた時。
「かまわない、通せ。」
「清四郎っ!!!」
声の主は紛れもなく清四郎本人だった。
「悪いな。
受付に連絡入れるの忘れてた。」
「ふざけんなよ、入れないかと思ったじゃん。」
「悪い、悪い(笑)」
清四郎笑いながらは片手で謝るポーズをとって、俺に見せた。
まぁ、忙しかったのだから仕方ない。
それに、俺の格好もこの場所では浮いているのだろう。
一応、黒のパンツに白のインナーシャツ、黒のジャケットを着てきたが、スーツ姿のサラリーマンしかいないここでは浮いてしまうのも仕方ない。
「君たち、この人は俺の大切な客人だ。
これからはパスやアポなしで入れるように覚えてくれ。」
清四郎は受付の女性にずいぶんと偉そうな口調で話す。
しかも、俺なんかただの一般人で関係者ではないのだからそこまで言う必要はないのではないか。
「清四郎…」
「かしこまりました、社長。
宮下様、先程は大変失礼致しました。」
女性は深々と頭を下げた。
「社長っっっ!?」
そう呼ばれていたのは紛れもなく俺のとなりに立つこの人である。
呆気に捕らわれ呆然としたまま清四郎に連れてこられた場所はもちろん社長室。
ここに来るまでの間、すれ違う会社の人たちは清四郎にむかって会釈や挨拶を必ずする。
そしてこれまた必ず俺を不思議そうな目で見た。
「助かった、ありがとな。」
俺が渡した封筒から書類を取り出した清四郎はそれを眺めながら、パソコンに何かを打ち込んでいく。
「…知らなかった…清四郎が社長なんて。」
「驚いたか??」
「うん。
相当、驚いてる。
何で言ってくれなかったの??」
「別に隠してた訳じゃねぇけど。
自分から社長だなんて言うの恥ずかしいだろ??」
「………。」
「それに、橋本さんと比べたら天と地の差だ。」
「あの人は異常だよ。
ここだって、すごい立派だし。」
俺がそう言うと、清四郎は優しく笑った。
清四郎の座る椅子は黒い革張りのしっかりした椅子で、流石大きい会社の社長だけある立派な部屋だった。
デスクの上にはもちろん「代表取締役社長 楠 清四郎」とかかれたプレートが置いてある。
コンコン。
ドアのノック音がすると清四郎が「入れ。」と、声をかける。
「失礼します。」と挨拶をしながら入ってきたのは、スーツ姿の綺麗な女性だった。
お盆の上に乗ったお茶を2つ俺の前と、その向かい側に置いてすぐに出ていった。
「ちょっと、ゆっくりしてけ。」
「これ飲んだら帰る。
仕事の邪魔したくないし…。」
「お前が邪魔になるわけねぇーだろーが。
午後の会議が終わったら帰れるから、一緒に帰ろう。」
「…でも。」
渋る俺に清四郎は自分の椅子から立ち上がって、俺の座る来客用のこれまた革張りの立派なソファーへやってくる。
そして、俺の真横に座ってキスをするんじゃないかってくらい顔を近づけてきた。
「秀…一緒に帰ろ。
…………な??」
こんな間近で、こんな格好いい人に、こんなことを言われたら…断る術もなく…。
「…うん………///」
この答えに満足した清四郎はにっこり笑ってから、おでこに触れるだけのキスをした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 100