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訪問者2 ー秀ー
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和也さんが来た。
清四郎との会話に時々出る【あの女】が、気になって気になって仕方ない。
その人はおそらく俺が前に見た人だろう。
せっかく落ち着いてきた気持ちが、またザワザワとうごめき出す。
また、チャイムがなって出ようとする俺を2人が必死で止めにかかったから大人しくしていたのに、しつこいチャイムに結局、清四郎が玄関に向かった。
「こりゃ、見ものだな。」
「え??」
「こっちの話さ。
あ、でも、これだけはわかってて。
清四郎も俺も、秀君派だからね。」
和也さんのいっている意味がさっぱりわからない。
どういうことなのだろうか。
「いい加減にしろっ!!!」
玄関から清四郎の怒鳴り声が聞こえた。
驚いて和也さんと二人で玄関に向かうと、そこには…………約2週間前に見たあの女の人がいた。
「え……あの人…。」
「秀君、知ってるの??」
「前に…清四郎といるところを…デパートで見かけて………。」
「あぁ、それでかー。」
「…??」
和也さんはニヤリと笑うだけで、視線を清四郎たちの方へと戻した。
何か意味ありげな微笑みを俺は微塵も理解できないでいた。
家に上がり込んできたその女性は、【玲奈】と言うらしい。
清四郎や和也さんが【玲奈さん】と呼んでいる。
先程、清四郎が怒鳴ったにも関わらずめげる様子もなく部屋に上がってきた。
「清四郎様が夏バテになられて会社をおやすみになってるから、玲奈は心配で心配で…それでお見舞いに参りましたの。」
「ここの住所まで調べあげてですか。
ずいぶんと礼儀知らずなお嬢様だ。」
和也さんが冷たくいい放つ。
こんなに怖い顔で笑う人初めて見たかもしれない。
「あら、あなたには関係のないことよ。」
怯むことなく、和也さんを睨みながら言う玲奈さんは視線を俺に移した。
「あなた、どちら様??
ハウスキーパーの方かしら。
もしそうなら、今はお引き取りいただいてもよろしくて??」
言葉は丁寧なのに目が異常に怖いんだけど……。
つーか、俺がハウスキーパー!?
「いや、俺は……。」
「俺と同棲してる奴に、随分と失礼な言い方するじゃねぇーか。」
清四郎の話し方がいつもより乱暴なのは気のせいではないはず。
"同棲"………。
「清四郎様は男性と同棲していらっしゃるの??
そんな方より玲奈と同棲いたしません??」
「誰がアンタなんかと同棲するかよ。」
「だから、あなたはお黙り!!!」
鼻で笑った和也さんに、キッと睨みを効かせていい放った。
そんな、話し方する人いるんだー、と感心していると再び俺のことを睨む。
「まぁ良いわ、調べはついてるし。
あなた、つい最近まであの橋本敬造の所にいたらしいわね。
どうせ老いぼれジジイに体を売って媚びてたんでしょう、有名な話よ。
下品ね、人間のゴミよ、クズだわ。」
"人間のゴミ。"
"クズ。"
「おい、妙な詮索してんじゃねぇーぞ。」
「いちいち煩いわねっ!!!
あなたは黙ってて!!!
いいこと!?
こんなどこの馬の骨かも知れないゴミクズが、清四郎様のそばをうろちょろしてていいはずがないのよ!!!
清四郎様の品額が下がるの、それくらいわからないの!?
あなたが清四郎様の地位にも名誉にも泥を塗るのよ、このゴミクズ!!!」
"ゴミクズ"……か。
「うるせぇんだよ、クソビッチ女。」
「えっ……清四郎様……!?」
「黙って聞いてりゃぁ好き勝手なこと言いやがって。
てめぇなんざ、橋本さんの相手にもされねぇお粗末女だろうが。」
ぶちギレたのは俺ではなく、和也さんでもなく…清四郎だった。
清四郎はソファーにドカッと腰をかけて脚を組むと、その横に俺を座らせた。
「人のことあれこれ調べてどうする気だよ、この犯罪者。
てめぇ、人のモン貶しておいてタダで済むと思うなよな。」
「清四郎様…、私は清四郎様のことを思って……。」
「自分のためだろ。」
「違うわっ!!!
清四郎様がこんなゴミクズと暮らしていて、もしマスコミにでも変な噂が流れたらどうしますのっ!?
あの会社だって潰れてしまいますのよ??」
「その程度でつぶれる会社ってことだろ。」
「このゴミクズが清四郎様の人生を邪魔しているのよ!!!」
俺が…清四郎の邪魔に…??
「俺を邪魔してるのはてめぇだ。
コイツは俺の全てだ、俺を支えてくれる。」
「清四郎…。」
俺が清四郎の支えになってる??
違う、俺は…清四郎に何もできてないよ。
「秀を手放すくらいなら、何もいんねぇーよ。」
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