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溶けた氷 ー秀ー
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「秀を手放すくらいなら、何もいんねぇーよ。」
清四郎のその言葉に心臓がバクバク鳴った。
もちろん、俺も同じ気持ちでいる。
清四郎以外何も要らない。
「清四郎様…見損ないました。
ひとまず今日は失礼いたしますわ。」
「玲奈さん。」
「何か??」
「二度とここへは来ないでください。
それから、会社へも出入りはやめていただきたい。」
「それは、私が決めることですわ。」
その人は冷たい目をして、玄関へ踵を返した。
俺の横を通る途中にボソッと呟いた。
「売春するような人間のゴミは早く死ねばいいのよ。」
「……っ…。」
「てめぇっ!!!!!!」
堪忍袋の緒が切れて、殴りかかろうとする清四郎を俺と和也さんで必死に止める。
かりにも女性に手を出すのは良くない。
「清四郎っ、落ち着いてよっ!!!」
「抑えろって、今ここであの女殴ったりしたらそれこそ秀君の立場がなくなるぞっ!!!」
「……くそっ…。」
女の人も帰って、和也さんも帰って行ってしまった。
和也さんは帰り際に、清四郎に何か言っていたけどよく聞こえなかった。
静かになったリビング。
コーヒーを入れ直して清四郎と二人でソファーに座り直す。
「秀…。」
「ん??」
先に口を開いたのは清四郎で、俺を自分の方に寄せる。
俺は清四郎が好きなようにさせてると、清四郎は俺を後ろ抱きにした。
「清四郎…??」
「秀…仲直りしよ。」
「仲直り…。」
「お前の様子がおかしかったのは、あの女のせい??」
「……。」
答える代わりに頷いた。
清四郎の顔が見たくなって、態勢を反転させて清四郎と向き合うと久しぶりに面と向かってお互いを見れた気がした。
「…前に、買い物ついでにフラフラ散歩してたら……腕を組んで…デパートに入っていく二人を…見ちゃって……。」
「あー、丁度あの日な。
それで俺が仕事なんて下手な嘘ついたから、余計に不安にさせちまったか。」
「…うん。
スッゴい香水臭かったし…。」
「…………ごめんな。」
清四郎は本当に申し訳なさそうに、俺に謝った。
仕事だったと嘘をついたのはもちろん俺のためだとわかっている。
何より、今日のあの言葉が嬉しかったから今さらどうでもよくなってきたのだ。
「もういいんだ、清四郎。
俺も変な態度とっちゃったし、正直に聞けばよかったんだ。
お互い様だよ、ね??」
「俺を許してくれるか??」
「キスしてくれたら許す(笑)」
「いくらでもするっつーの。」
清四郎は俺の頬を両手で包んで優しくキスをしてくれた。
久しぶりのキス。
温かくて、気持ちがいい。
「あ、やっぱりさっきのもっ一回言ったら許す。」
「さっきの??」
「俺がいれば何にもいらないって。」
「あぁ、恥ずかしいな、この距離で面と向かっては。」
「辞める??」
「…秀を手放すくらいなら、何もいんねぇーよ。」
自分達は本当にただのバカップルだと思う(笑)
「俺もだよ、清四郎。
言わせておいてなんだけど、これ、恥ずかしいね。」
「お前(笑)」
お陰さまで無事、バカップルに戻れました。
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