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逮捕 ー清四郎ー
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「楠 清四郎さんですね。
暴行事件についてお伺いしたいことがあるので、署までご同行ください。」
チャイムをならしたのは警察でどうやら、さっきのことについて俺を調べるらしい。
どういうことだ。
「任意ですか??」
「今のところは、任意です。
しかし、明日になれば逮捕状が出るでしょう。」
「俺に逮捕状…??」
「待ってくれ、刑事さん!!!
清四郎がなにやったんだよ!?」
「今日の午後、あなたはこの部屋で男性に一方的に暴力をふっていますね。
こちらには証拠の写真もあるんですよ。」
「一方的ではありません。
俺のパートナーが押し入ってきた男に暴行されていたのを助けただけです。」
「そうですよ、悪いのはあっちだわ。」
「ですが…こちらには証拠がねぇー。」
年食ったクソジジイ刑事は、ニタニタと笑っている。
隣のまだ若い刑事もそれは同じだった。
「…任意でしたら、お断りいたします。
明日、逮捕状をお持ちになって再度いらしてください。
俺は、逃げも隠れもしませんので。」
「……っ…。」
刑事はバツが悪いような顔をしてとりあえずは帰っていった。
にしても証拠写真とはまた面倒なものが出てきたもんだ。
カーテンは閉めきっていたはず。
あ。
アイツか…先に逃げたやつ…。
おそらく先に逃げたやつに開いていた玄関から撮られたのだろう。
どうやら相手は盗撮がお好きなようだ。
「清四郎………。」
秀は今にも泣きそうな顔をしていた。
「俺のせいで…清四郎が……捕まっちゃう…。」
「違う。
お前せいじゃない。」
「そうよ、秀君。」
「悪いのはあいつらだよ。
でも、清四郎どうすんだよ。」
和也は頭を抱えてソファーに座り直した。
俺が逮捕されれば藤堂グループを潰すに潰せないことは確かだ。
「恐らく逮捕状が出てもたいして拘束はされないハズだ。
弁護士は準備しておく。
それから……………」
ピリリリリ
俺のケータイが鳴ってそれが電話だとわかると、アキに秀を頼み俺はベッドルームへ入った。
「もしもし。」
『やぁ、久しぶり、僕だけど。』
相手は橋本さんだ。
「ご無沙汰しております。」
『あぁ。
大丈夫かな、君たちは。』
「俺たちのことでご迷惑をお掛け致しましたでしょうか??」
『いいや、ニュースを観てね…胸騒ぎがしたもんだから一応ね。
僕に出来ることがあるなら協力するよ。』
「……その、秀が………。」
『何かあったの??』
「………俺の部下を装った連中に強姦されかけまして…今は少し落ち着いてるんですが。」
改めて人に話すと本当に情けない話だ。
自分で自分を殴りたい衝動に駆られる。
迂闊だった。
すぐに秀に電話をするべきだった。
『…許せないね。
相手はもうわかってるんだろうね??』
「はい。
ですが、その連中を殴ってる写真を撮られたようで、恐らく明日俺に逮捕状が……。」
『弁護士は??』
「心当たりがあるのでそちらを当たろうかと。」
『万が一は僕の知り合いを紹介しよう。
腕がたつのがいるからね。』
「ありがとうございます。
あの…一つお願いがあるのですが。」
『何??』
「俺がいない間、秀をお願いしてもよろしいでしょうか??」
『なんだ、そんなこと。
もちろん構わないよ。
一応、明日そっちに向かおうか。』
「お手数をおかけして申し訳ありません。」
『いいんだ。
老いぼれジジィに出来ることがあるならね。』
こうして翌日橋本さんが来てくれることになった。
正直、気は進まない。
むしろ、進まないなんてもんじゃなかった。
それでも、ここにいるより遥かに安全で安心できる場所なのは確かである。
くそ………ホント、情けねぇ。
そして、翌日。
再び刑事が来て、俺は大人しく逮捕される。
「清四郎っ!!!」
後ろで和也に抑えられながらも、取り乱している秀の声が聞こえた。
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