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体温と寂しさと… ー清四郎ー
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橋本さんの家で作戦会議だ。
広くも落ち着きのある客間。
座り心地のいい如何にも高級感の溢れるソファーがこれまたアンティークで高級そうなローテーブルを四方から囲んでいる。
その内の一つに俺が、向かい側に橋本さんが、左側に和也が座った。
そして、俺の右隣にはもちろん秀がいる。
俺の様子を常に伺っているようで、俺の服の裾を掴んだまま離そうとはしない。
微かに秀の体温を感じとることができる、この距離。
その儚い体温にでさえ、今は酷く安心し、落ち着くことができる。
二人っきりだったら、抱きしめたまましばらく離さねぇのに……。
人目を気にするタイプではないが、さすがに橋本さんのところでそんなことをするほど度胸はでかくない。
「彰吾、お茶を頼むよ。
僕は紅茶ね。
楠君たちはなにがいいかな??」
「俺はコーヒーをお願いします。」
「俺も。」
「かしこまりました、楠様、清水様。
秀君は、なにがいい??」
「か、カフェオレ。
ていうか、手伝いますっ。」
「カフェオレね。
いいよ、大丈夫だから。」
執事は微笑むとすぐに部屋を出ていった。
それを見送ると橋本さんが本題を切り出す。
「じゃぁ、話をするとしようか。
楠君、君が逮捕されるとき彰吾に渡されたもの、今持ってるかな??」
「はい、これって…盗聴器ですか??」
俺はポケットから黒いカフスの形をしたものを取り出し、橋本さんに渡した。
おそらく、探偵や調査会社等の専門職が使うようなものだろう。
「よくわかったね。
しかも、カメラつきだよ。」
「カメラっ!?
それは気がつきませんでした。」
「今は凄いんだ。
丸々2日分は録音、録画が可能でね、おそらくいい画がとれてると思うんだがね。」
「撮れ高は十分ですよ。」
「楽しみだね。」
「それって、清四郎が必要以上な取り調べを受けたって証拠だよな??」
「あぁ、おそらくあの刑事たちも東藤グループと繋がってるハズだ。」
「そうだね。
これをネタに揺さぶればすぐに白状するだろうさ。」
橋本さんはカフスを指で弄びながら、ニヤッと笑って言った。
頭の切れるこの人は、先の先まで読んだ上で俺に盗聴器を持たせたのだろう。
この人だけは敵にまわせねぇーな。
コーヒーが運ばれて来て、ちょっとだけ一息ついた。
秀も甘そうなカフェオレをゆっくりゆっくり飲んでいるが、その姿が本当にかわいくてついつい、秀の頭を撫でてしまう。
「ん??」
そんな俺を不思議そうに見上げてくるところも、目が合ってほんの少しだけ照れてるところも、全部可愛い。
「あんま、見るなよ……///」
可愛い。
「清四郎、こっちも良いネタ掴んだぞ。」
和也は楽しそうにノートパソコンを開き、ひとつのフォルダを俺に見せてきた。
そこには藤堂グループ社長と見覚えのある議員が数名写っていた。
「なんだこれ。
なんでこいつらが一緒に??」
「な??
面白い組み合わせだろ??」
和也はそう言って自慢げに写真をいくつもいくつもだしてくる。
「癒着してんぜ、コイツら。
議員が圧力かけて、いくつかの会社や企業に東藤グループと提携させてる。
まぁ、その代わりに金を東藤グループが払ってるって感じだな。」
「議員が絡んでるのか……。」
「それなら警察と繋がっててもおかしくはないね。」
橋本さんは面白そうに笑って、写真を眺めている。
この人も議員と繋がっているはずだろうから、おそらく顔馴染みの議員を見つけたのだろう。
「あ、それからな、アキが言ってたんだけど、あの女、ビッチすぎて男の数調べるので大変だったらしいぜ。
しかも、週に5回は都内の高級クラブに通ってんだとよ。」
「予想通りっちゃ、予想通りだな。」
「その子については、僕の方でもちょっと調べてみたよ。
とても面白い子だね。」
「面白くないです…。」
橋本さんが笑ったのに対して、秀は多少むくれながらボソッと呟いた。
「まぁまぁ、聞きなさいよ。
いくら社長令嬢とはいっても高級クラブに週5で通うなんて、はぶりが良すぎると思って調べたんだ。
そしたら、彼女は父親からもらっている金とは別に、どこか別のところから金を得ていることがわかってね……どこだと思う??」
「男じゃないんですか??」
和也が当然のように鼻で笑って見せたものの、橋本さんは可でも不可でもない顔をしていた。
「父親の会社の経理部長だよ。」
「まさか…。」
「おいおい、横領じゃねぇか。」
橋本さんの言葉に俺も和也も唖然とするほかなかった。
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