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TDL 6 ー清四郎ー
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「もう、お腹いっぱいっ!!!」
骨付きチキンにバーガーセット、ワッフル、かき氷、アイス、ポップコーン、チュロス。
少食の秀はパンフレットを見ながらアレもコレもソレも食べたいと選べなさそうだったからちょこちょこと食べ歩きをしようとなったのだが、珍しく次々と完食していった。
それは今までに見たことがないほどのスピードで、幸せそうな顔でリスのように口を膨らませモグモグと食べているその姿は可愛いやら微笑ましいやら。
しかし、さすがに食べ過ぎたのか次にパスをとっておいた最後のジェットコースターはしばらくやめておいた方が良さそうだった。
遅めの昼食だったため時間も3時過ぎ。
『いい!?
夜は帰りのお客でお土産のSHOPは混むからね!!!
夕方のうちにお土産たくさん買って邪魔にならないようにロッカーにいれておくの!!!』
ふと、アキが散々言っていた言葉を思い出した。
丁度良いかもな。
アキのありがたーいお言葉(棒)にここは素直にしたがって買い物に行っておこう。
「秀、お土産選びがてら食休みするか。」
「うんっ!!!
あのね、さっきちらって見たんだけどお店いっぱいあって…一通り見たいんだけど……付き合ってくれる??」
そんな捨てられた子犬のような目をしなくても、付き合ってやるって。
俺は秀の頭をポンポンと撫でてそれを伝えた。
はにかんだ笑顔で「ありがとう。」と笑う秀は、俺の手を握って進んでいく。
どうやら店が集中しているアーケードに向かっているようだ。
「お菓子いっぱい。
雑貨もいっぱい。」
「誰に買ってくんだよ。」
「和也さんとアキさん!!!
チケットくれたお礼なんだけど……二人も隣のパーク来てるんだよね??
いらないかな……??」
「パークによって種類が全部違うから、いらないってことはないだろ。
それにアキはお前からのプレゼントならなんでも喜ぶとおもうぞ。」
「うん、ありがと。」
秀は周りをキョロキョロと探す。
お土産といっても種類は様々で、品数は目眩がするほどの驚異的な数だ。
店内を見たり、パンフレットを見たり、相当真剣に悩んでいるらしい。
「慌てなくていいからな(笑)」
「何がいいか全然わかんないや…。」
「食べ物と形として残るもの、どっちにすんだ??」
「んー、残った方がいいかな。
出来ればよく使うもの。」
「なら、日用雑貨だな。」
秀の手を引いて俺はお菓子類の店を出た。
そして、アクセサリー類やハンカチ、ポーチなどの小物類、ステーショナリー類、キッチン用品類……など、とりあえず一通り店を見て回った。
「…清四郎…ちょっと離れてるところにあるお店にも行きたいんだけど……行ってもいい??」
そんな子犬みてぇな目で見なくても(笑)
「もちろん。」
「こっち(笑)」
嬉しそうに手を引っ張りながら連れてこられたのは、スリスタルショップで所謂ガラス工房だった。
工房といってもここで行われているのはガラス製品にイラストや文字などを彫り入れる程度だったが。
「二人ともお酒飲むから…ペアグラスとかいいかなーって。
持って帰るの大変かな……??」
「車だし問題ねぇよ。」
「じゃぁ、グラスにしようかなー。
二人ともお酒何が好き??」
「あー、和也は俺と同じで何でも飲むけど……アキはワインとかが結構好きだな。」
「なら、ワイングラスかぁ。」
秀はじーっとさまざまな形のワイングラスが並ぶコーナーを真剣に眺めだした。
秀がワイングラスをプレゼントするなら、俺はそれに注ぐワインを買っていって一緒に渡せばいいだろう。
「アキはな、赤が好きだからこっちの口が閉じてる方がいいぞ。」
「種類で使うグラスが違うの??」
「赤はあまり空気に触れず、尚且つ香りや風味がなるべく狭い範囲に集中させる為に口の閉じてるグラスを使う。
逆に白はその香りをより多く広く広げるために口の広いグラスを使う。
他にもシャンパンとかスパークリングには炭酸がとびにくい深めのグラスを使うんだ。」
「ワインって難しい。」
「だから、アキにはこっち系のグラスがいい。」
俺は赤ワイン用のグラスを指差した。
「じゃぁ……………これにする。」
秀が選んだのは意外にも持ち手の括れ部分に気泡の入ったシンプルなものだった。
それを2つ持ってスタッフのところへ行くと何かを彫ってもらいたいのか、真剣な眼差しで話している。
スタッフはなにやら秀に冊子を見せながら話しているから、フォントか絵柄を決めているのだと理解できた。
こういうとき秀はちゃんと自分の金で買う。
橋本さんのところに居たときバイトをして貯金をしていたらしい。
普段から買い物に行くときはその貯金をちょっとずつ崩して自分の欲しいものを買っている。
俺が買ってやるといくら言っても「自分の欲しいものくらい自分で好きなように買う」と言ってきかない。
とはいえ、ほとんど物欲というものがない秀だから、買い物すら珍しいのだが。
「注文してきた!!!
20分くらいで出来上がるって!!!」
「その間に他の店も見てくるか。」
「うん!!!」
さーて、俺は何を買ってやろうか………(笑)
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