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20.やっぱり、光なんだね
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「結構買ったよね」
健也が大量の荷物を持ちながら言う。
「いっぱい買ったの健ちゃんだけだよ」
光は持ってきていたリュックに全ての荷物を入れて、歩いている。
「俺、買ったのクレープと昼飯だけかも」
彰人は言う。
「ご馳走様でした」
と、光が言う。
クレープ屋で、買ったクレープを途中で彰人が「甘いもの嫌い」と言って光に押し付けた。
光は「わーい」と言いながら食べていたが、ほとんどクレープは初期状態だったので実質2個食べたようなものだった。
「楽しみだね、合宿。」
光と彰人が喋っている後ろで俺に健也が話しかける。
「そうだな」
俺は、楽しそうに喋っている2人を見ながら答える。
「大部屋なんて久しぶりだよね」
健也が言う。
「中3の時は4人部屋だったから、中2ぶりか。」
中学時代を思い出しながら、俺は言う。
「坂崎くんたちの班だよね
僕、坂崎くんしか知らないんだけど」
不安そうに健也は言う。
「伊藤は良い奴だよ、ほかは知らないけど」
俺はそう返す。
合宿の部屋は8人部屋だった。
メンバーは俺たちの班と伊藤たちの班。
伊藤とは喋れるから大丈夫だが、ほかの3人とは喋ったことがない。
彰人と光は、多分伊藤の班員4人とも知らないはずだ。
「光は人見知りだから、心配だな。彰人もだけど。」
俺は小さな声で言う。
「そうだね」
健也はその続きに何か言ったが、光の声で聞こえなかった。
「今なんて」
俺は健也に聞き返そうとした時、健也の言葉に遮られる。
「早く、合宿の日になればいいのに」
少し寂しそうな笑顔で健也が言う。
俺は、そんな健也に「うん」としか言えなかった。
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