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優しさがしみこむ
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「……えっと……」
俺は言葉に詰まり、青年の方をお願いだから察してくれ、と心の中で叫びながら見た。
ドアから差し込む光は部屋の一部分だけをやけに明るく照らしていて、俺の体はちょうど下半身だけその範囲に収まっている。
それが余計に羞恥心を掻き立て、穴に指を突っ込んでいる自分の姿に泣きたくなる。
「……いや、分かんねえよ?そんな目で見られても。」
……察してくれなかった。
青年は心底困った顔をして、この状況からどう進もうか、展開を考えているようだ。
…………。
この沈黙の間に俺はとりあえず自分の穴から指を抜く。
ヒリヒリして痛いが、それよりも羞恥心と気まずさが勝っていてあまり気にする余裕がない。
………………………。
………………………。
長い沈黙の間考えこんでいた青年は、訝しむように俺を見て躊躇いながら聞いてきた。
「……まさか、元々そういうのが好きなのか?」
「はっ?」
俺は考える間もなく、反射的に答える。
そしてその後、頭のなかで青年の言葉を分解して意味を考えた。
元々、そういう、のが、好き、なのか?
そういうの。
そういうこと。
………好き。
「はっ!!違えし!いや、ほんと違うから!!それだけは違うから!」
「ぶっ」
俺の慌てように青年は吹き出して笑う。
さっきまでの印象とも、金髪でタトゥーの入っている怖そうな風貌とも違う、俺と同じ高1のまだ幼さの残った笑顔に何だか癒された。
「ハハハ、あーおかしい。…じゃあ何やってたんだよ。」
「……そこはスルーしてくれるところじゃないの?」
「いや、ここまでくると気になるじゃん。」
「……だから、その…………きが…………かめてたんだよ……。」
「あっ?聞こえねえよ。」
「だから!精液出されたのか確かめてたんだよ!んで出されてなくて一安心って所をお前に見られたんだよ!察しろよ!」
「………………。」
「……何だよ?」
「…………いや、ごめん。出した。」
「えっ?」
「だから、出したって。」
「……いや、でもなかったし……」
「お前が気絶した後、俺が後処理した。」
…………。
………まじか。
まじか、まじかよ、まじなのか。
俺、中で出すよりも先に出されたのか。
ショックを隠しきれず、俺は涙が零れる。
けれどそれを拭く余裕もなく、シーツへボロボロと涙が水玉模様を作っていく。
「いや、まあ、うん。気持ちは分かるけど。……奴隷になったら、こんなことたくさんあるから、……その…気にすんな。」
「慰めになってねえよ!!」
「うっ……うるせえな!!男ならこんなことで泣くなよ!!」
「男なのにこんな女みたいな扱いされてるから泣いてんだろ!!てかもうお前どっか行けよ!!」
「あぁ?ここは俺の部屋でもあんだよ!そもそも新参者が堂々とベッド独り占めしてんじゃねえよ!そこは俺も使うんだからな!」
「知らねえよ!!もうなんも分かんねえよ!!」
「あっ………………。」
「……………………。」
ここまで言い争いをすると、また少しの沈黙がやってきた。
俺はだんだん止まらなくなってきた涙を必死に堪えようとするが我慢できずに流れてしまったものがシーツを濡らしていく。
シーツをぎゅっと握りしめ、下を向いて何とか青年に見えないようにする。
するとその様子を見ていた青年はがベッドまでやってくると、俺の近くに座った。
彼が座ったことでベッドがその重みでさらに沈む。
そして青年は、ポンと俺の頭に手を置いた。
「えっ?」
俺は予想外の行動に間抜けな声を出して、青年の方を見る。
驚きで涙がひゅっと引っ込んだ。
「……でもまあ、その、辛かったよな。いきなりこんなところ連れてこられてさ。……俺も怖かったし……。」
「……。」
「だから、……その、短い間だけどさ、俺たち、……苦しみを分けあえる仲間な訳だし、仲良くしようぜ、なっ?」
「………………うん。」
「そりゃ、初めて入れられたら不安だよな。……笑って、怒鳴ってごめんな。」
「……うん。」
そう言われると、せっかく引っ込んだ涙が今度はさらに勢いをまして溢れてきた。
もうどうしようもなくなって、俺は子供のように泣きじゃくる。
「うわぁぁんんん!!ぐすっ、はぁっはあっ」
そんな俺を青年は優しく抱きしめると、ずっと頭と背中をさすってくれていた。
そのぬくもりと優しさに俺はさらに涙が止まらなくなる。
そして本当に子供のようにその暖かい胸の中でまた眠りについたのだった。
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