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昔の話 1
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「なんでこんな簡単な魔法が使えないの。あなたも魔法使いなんだからもっとちゃんとしてちょうだい。どうしてこんなにも出来が悪いのかしら」
「ごめんなさい」
「はあ、まったく·····教えるこっちの身にもなってほしいわよほんと」
ランプの中に光を灯す魔法が全然上手くいかなくて、また今日もお母さんの説教を聞くだけで日が暮れてしまった。
どうして上手くできないんだろう。
ロウソクに火をつけようとすると、爆発したり自分の背より高い炎になってしまったりする。
俺は百年ぶりに生まれた子供かなんかで周りの期待も大きかった分、魔法がうまく使えなくて「出来損ない」や「落ちこぼれ」だとがっかりされることが多かった。
お母さんも周りの期待に応えようと俺に一生懸命魔法を教えてくれるけど、上手くいった試しがない。
俺ぐらいの年になると、普通は雨を降らすくらいなら簡単に出来るのに、俺はまだ小さな火を灯すことも出来ない。
「もう今日はご飯にしましょう。パパがもうすぐ帰ってくるから」
「うん」
机にお皿を並べたり夕飯の準備をしていると、そとががやがやと騒がしくなっていた。
お母さんと顔を見合わせて首を傾げると、次々に銃声のような音も聞こえ始めた。
ただ事じゃないと判断したのかお母さんは俺に「奥の部屋に隠れてなさい」と言って、俺が奥の部屋に行くと鍵をかけた。
なにがおこってるんだろう。
気になるけどこの部屋は窓もないから外の様子を見ることも出来ない。
しばらくすると、玄関の扉をガンガンと壊された音がして耳を塞いだ。
扉の向こうで激しい物音がして怖くなってきた。
バンッバンッバンッと短く発砲音がして、ビクッと肩が跳ねる。
お母さんが灯していた部屋の明かりが消えた。
「え·····?」
「まだいるはずだ。あの部屋を探せ」
隠れていた部屋のドアを蹴り破って銃を持った数人の人間が入ってくる。
「一人いたぞ」
「殺す前に目だけは取っとけよ。高値で売れるんだからな。·······ったく、上玉だったのに先に殺しちまいやがって」
「いや、女でも魔女だからどんな力持ってるかわかんねえだろ。抵抗すんだから仕方なかったんだよ」
開け放たれた扉の向こうに倒れたお母さんが見えた。長くて綺麗な白い髪が血を吸って真っ赤に染まっている。
死んでる?なんで?お母さんは優秀で強い魔女だってお父さんいつも言ってたのに。
「あ·····おかあさん·····お母さん!」
「おい、逃がすな!捕まえろ!」
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