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episode 1
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Domは圧倒的な支配力を持っている。
稀にSwitchが持つ事もあるが、Domに比べれば弱い支配力となってしまう。
一方で、Subは服従する。
Safe word を言えば命令に背く事が可能だが、基本的に逆らう事はできない。
だが大抵のSubは、その事に対して不満を持ったりしない。
なぜならその支配力こそが、自分の欲する快感に繋がるからだ。
俺、瀬名郁人 は正真正銘のSubである。
DomやSubには特徴があり、外見で判断できる。
Domは瞳の色が赤色で、Subは青色、Switchは普段緑色で、Domの行為をする時は赤色、Subの行為をする時は青色と変化する。
俺は、自分の第二の性にうんざりしていた。
周りのSubが次々とパートナーを見つけて、散々惚気話を聞かされる。
パートナーであっても恋人でない事が多いので、簡単なプレイの話ばかりだが。
俺は全く以ってSubの気持ち良さというものがわからないのだ。
割と恵まれた容姿で生まれたため、20年も生きていればパートナーにならないか?と声をかけられる事は少なくなかった。
2、3回誘いを受けてプレイをしてみたものの、何も感じなかった。
本当に自分はSubなのかと検査すると、特定のDom、つまりDom性が特別強い人でなければ反応しないそうなのだ。
それによってますます自分の性が嫌いになり、俺は青い瞳を隠して黒色のカラコンと眼鏡をかけて生活している。
大学では、俺のそっけない態度によってDomだということになっているらしい。
なのでDomを中心とした友人が出来て、Subを探しに行こうぜ、なんて誘われたりもする。
だが、誘いに乗ればDomでないことをバレてしまう。
それだけは絶対に嫌だった。
ある日、俺はとあるDomを紹介したいと友人に誘われた。
俺は友人の指定した場所に行ったが、友人の姿はない。
どうしたのかとメールすると、風邪で行けなくなってしまったらしい。
そういうのは早く教えろよ、お大事に、と返信すると、せっかくだからそのまま会ったらと言われてしまった。
仕方がないと待ち合わせ場所に行くと、もの凄い量のSubがわらわらと集っていた。
人集りの中心に行くと、端正で綺麗なDomを見つけた。
「お願いします!一回だけでも…!」
そう懇願するSubに、
「ごめんね。パートナーがいるから」
と困りながら断っている。
話しかけるのを少し躊躇ったが、困っているようだし声をかけた。
「…大変だな」
「あっ、君が…えっと、瀬名 郁人くん?」
「そうだよ」
「初めまして、神宮寺 秀弥っていいます」
「おう、よろしく。秀弥」
軽く会釈をした後、秀弥は全てのSubに向かって「御相手はできません!!」と声を張って伝えていた。
近くのファミレスへ入る。
テーブル席に案内され、明日は大学無いからとお酒を頼んだ。
「乾杯」
「乾杯」
初対面だから、気まずい空気が流れる。
それを打ち切ってくれたのは秀弥だった。
「えっと、目、黒いね」
「あぁ…あんまり綺麗な色じゃないから」
「人によって違うものなの?」
「瞳孔明度極度症って聞いたことない?俺の場合はすごい暗い色なんだ」
「なんか聞いたことあるかも」
病名も症状も全て嘘だ。俺の瞳は赤でも緑でもなくムカつくほど澄んだ青色。
その後は他愛もない話をして過ごした。
人見知りの俺にしては初対面の人と楽しんで話をすることができた。
秀弥は、Domの中でもかなりトップクラスのようだった。
人前であるというのに理性の無くしたSubが集まっては「命令して」と懇願していた。
秀弥は優しいのでキツく断ることができず、俺がDomのGlareに憧れただけのただの睨みをSubへと向けると、何を勘違いしたのかSubがビク、と反応した。
これが支配なのかと考えると、ぞくぞくと背中が震えた。そのままSubに「彼にはパートナーがいるんだ」と頭を撫でてやった。
そうするとSubは、そそくさと去っていった。
店を出ると、先程身体をビクつかせたSubが俺に近寄ってきた。
「お前Subだろ!?お前が彼のパートナーなのかよ!?」
そう言うと俺の襟元を掴んできた。
やばい。苦しいとかどうでもいい。
秀弥にSubってバレたら、他の奴にもバラされる。そうなったら、俺の立場は無いに等しい。
嫌だ、そんなの嫌だ…!
「待って」
秀弥がSubの動きを止める。
「彼は僕のパートナーじゃない。今日会ったばかりだよ」
「でもコイツ、Subで…!!」
「Kneel」
突然、秀弥は心地の良い低音でSubに命令した。
命令に背く事ができず、Subはその場にぺたんと座り込んでしまった。
俺は自然と解放されて、急いで離れた。
はふはふと呼吸をして、ふるふると震えているSub。
…普通、Kneelだけならこんな事にはならないはずだ。
「あ…強すぎちゃった?声、聞こえる?」
秀弥は少し慌てた様子で、Subの耳元に囁いた。
「あ…っ、だめ、イ…ッ!」
Subはビクビクと身体をくねらせて、やだやだと言いながら達してしまった。
普通、こんなことになるわけがない。
充分距離を取っていた俺でも少し悪寒を感じてしまうほどの強さ。
「命令、強くしてごめんね。立てる??」
秀弥がそう言うと、流石に人前で達した事が恥ずかしくなったのかふらつく足でSubは去っていった。
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