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episode 3
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「…郁人、俺のこと煽ってる?」
先程のように俺のことを見つめる秀弥。
ついさっきの出来事を思い出して、声が震えた。
「煽ってない…」
俺はGlareを避けるために目線を外したが、秀弥の視線を感じる。
「秀弥、あんま見ないでくれると助かる…」
「それは無理かな」
「なんでだよ…お願いだから、やめろ…」
顔に熱が集中するのがわかる。背中も心なしかぞくぞくしてきて、興奮で息が上がる。
「は、…っ」
「友達でいようって言えば良かったのに」
残念だったね、と秀弥はじりじりと近づいてくる。
「言っ、た…」
「言ってない。郁人は、命令されたいって言ったんだ」
そう言うと、後ろからゆるく拘束される。
満たされているのか、恐怖を感じているのか、自分では分からなかった。だが、確実に秀弥に支配されていくのはわかる。
「も、離せ…無理…」
「でも無理って言う割に、抵抗してないよね」
「…ちから、はいんないん…だよ」
自分の浅ましくてはしたない欲が、身体の芯からどろどろと溢れ出す。
溢れたものは、今まで満たされず、そしてこれから先も満たされることのないと思っていた欲。
「…郁人」
秀弥にゆるく拘束されている事しか頭になく、唐突に耳に吹きかけられた息にびくりとする。
「ともだち、でいいの?」
「ひっ…あぅ」
自分の口からこんな高い声が出るなんて知らなかった。
このまま俺は、快楽に流されて無理矢理秀弥のパートナーになってしまうのだろうか…
今にも途切れそうな意識の中でそう考えて、情けなさと悔しさがぐるぐると回った。
自分を制御することも出来ず、涙が勝手にぽろぽろと頬を伝っていく感覚だけがあった。
その時、俺をゆるく拘束していた秀弥の腕は完全に俺を解放した。
どうやら涙を流す俺を見て我に返ったらしい。
「ごめん!!」
秀弥は力なく座っている俺から離れ、部屋の隅に逃げた。
「本当に、ごめん」
意識がぼんやりとしつつも、秀弥がごめんと言う声は何度も聞こえた。
Subから離れていれば、ぼんやりとした意識からは解放される。身体の熱などは別だが。
「…も、そんなに謝んなくていい」
呼吸もだんだんと落ち着いてきて、秀弥に話しかける。
「…ごめんね」
「もういいって。俺も、悪かったし」
無意識とはいえ、煽ってしまった自覚はある。
「郁人は悪くない。郁人が可愛くて…ごめん」
「…俺のせい?」
「郁人のせいじゃない。俺が抑えられなかったから、俺が悪い」
ごめん、ごめんと何度も言う秀弥は、もう俺に近づこうとはしなかった。
でも俺の中で秀弥に与えられた疼きや熱は燻り続けていて、今にも変なことを口走りそうだ。
「…からだ、あつい」
頑張って絞り出した言葉。「触って」や「命令して」だけは言いたくなかった。
「…一人にさせた方が、いい?」
「…頼む」
そう言うと秀弥は、部屋から出て行った。
秀弥は俺のことはもう触らないと心に誓っているようだった。
その意志を折らせて触らせるのはどうにも忍びない。
結局その日は、燻り続ける熱をどうにかして放出させるしかなかった。
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