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会えました
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「やっぱり、時間とか歳とかって、残酷ですよね」
ちょっとだけ不機嫌なテッちゃん。
まぁ、結局負けちゃったんだもんね、俺に。
そもそも、パスに特化した選手なのに、なぜ俺に勝てる気満々かな?
「おっさんになら勝てると思ったのに」
「嘗めるな、監督よ?」
おっさん嘗めたら痛い目に合うよ♪
「なぁ、テッちゃん」
「はい? なんですか、高尾監督」
「その高尾監督っての止めない? 昔みたいに、高尾くんとかいっそ和成って呼ぼうよ♪」
「死んでください」
「やっだよーん♪ テッちゃんに言われたから、命を大切にしてるんだもーん♪ だから、死なない」
ギュッと後ろから抱きつくと、テッちゃんは少し顔を赤らめた。
「ウザイです」
「顔赤くして言っても、可愛いだけだぞ♪」
「………………………………ウザイです」
「テッちゃん可愛いー?」
ギュッとすると、テッちゃんは俺の腕を掴んで、そのまま俺に身を預けた。
嬉しくて、テッちゃんの匂いを嗅ぐ。
変わってない。
ちょっと甘くて、澄んだいい匂い。
「高尾くん、嗅がないでください」
「いいじゃん♪ 俺、ずっと待ってたんだよ? ずっと、ずっと……」
何度もテッちゃんが帰ってこないまま死ぬんじゃないかって思った。
テッちゃんがずっといない世界を見た。
夢の中で、何度も何度も、テッちゃんを取り戻せないことがあった。
辛くて、怖くて、何度もここでテッちゃんを待ちながら泣いた。
ようやく、戻ってきた。
大切な大切な、俺の愛しい人。
「なんで、もっと早く帰って来てくれなかったの? 俺、ずっとずっと待ってたんだよ? テッちゃん帰って来ないんじゃないかって思った。怖かった」
「そうだったんですか。すみません」
「いいよ、もう。帰って来てくれた。それだけでいい。けど、もうどこにも行かないで。俺、意外と寂しがり屋だって気づいた。テッちゃんがいなくなって」
「それは、僕も同じです。僕も寂しくて寂しくてどうしようもなかったです。でも、高尾くんの喜んだ顔を見たら、きっと気持ちが緩んで、怠けてしまったでしょう。だから、今日までずっと、我慢してました」
「そうなの?」
「はい。帝光中でレギュラーになって、強くなって、秀徳からお呼びがかかるまで、君に会うためにと頑張って来たんです。君に会うためなら、どんなことでも頑張れた」
「そっか……」
「はい。やっと、会えました」
「うん。やっとだ。やっと、取り戻せた」
「高尾くん、キスしてもいいですか?」
「うん」
俺たちは、ようやく触れ合えた。
その喜びは、とてつもないものだった。
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