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あのときのまま
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テッちゃんを家までおんぶして運び、いまはベッドで寝かしてる。
顔色は良くなったし、体の方もすぐ良くなるだろう。
だが、問題は心だ。
テッちゃんの心に残った大きな傷は、どうしたら癒えるのか。
俺はソファーに沈み込みながら考えたが、いい案は浮かばないまま時間だけが過ぎていく。
テッちゃんがあんな大泣きするところを始めてみた。
それだけ、辛かったんだろう。
思っても仕方がないことなのだが、もう少し早く助けてやれたらと思う。
もう少し早く忘れ物に気がついて、
もう少し早く学校に着いて、
もう少し早く部室に行って、
もう少し早くテッちゃんを助けられたらよかったのに。
そう思う。
いま思っても仕方がないことだし、少し早かろうが、テッちゃんは襲われていたことに変わりがないのだ。
それでも、人間は後悔する生き物だから。
人間は失敗して、後悔して、成長する生き物だから。
だから俺も、
「成長してんのかな……」
どうだろう。
少なくとも体は大人になった。
けど、心はまだまだ子供なんだろうな。
考えが甘すぎるし、子供っぽい嫉妬とか勘違いとかして、テッちゃんを困らせてる。
俺はいまでも、
「あのときのまま」
変わってないんだろうな。
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