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ダメです
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次の日の朝まで、テッちゃんは目覚めなかった。
いや、実質お昼までだが。
「高尾くん…………?」
「おはよ、テッちゃん。よく眠れたみたいだな」
「はい。でも、高尾くんは寝てないようですね」
「ん、でも、大丈夫だよ」
昨日、テッちゃんが心配でずっと手を握りながら起きていたのだ。
寝てないからか少し頭痛がしていたが、まぁ一日くらい大丈夫だろう。
「ダメです。寝てください」
「大丈夫だって。テッちゃん心配しすぎ」
「心配するに決まってるでしょう。恋人なんですから」
そう言うと、テッちゃんは俺の腕を引っ張って自分の横に寝かせる。
そして、ギュッと頭を抱いた。
「…………テッちゃん?」
「寝てください。僕がいなくなるかもしれないという不安をなくすために、抱きついていてあげます。寝ている間ずっとそうしていますから、寝てください。いいですね?」
テッちゃんの匂いとテッちゃんの温もりは心地よくて、さっきまでなかった眠気に襲われた。
「わかった。寝るよ。だから、テッちゃんももう少し寝てて」
「はい」
テッちゃんの心臓の音が聞こえる。
テッちゃんが幽霊だったときは感じることが出来なかった体温と温もりと心音と匂いに安心する。
テッちゃんは生きてる。
生きてここにいる。
その事実に、酷く感謝するのは、きっといいことなんだろう。
当たり前が一番幸せなんだ。
テッちゃんの鼓動が子守唄になって、俺は静かに眠りについた。
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