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虎と兎
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「お、お客様…。ご注文は」
「あ゛あん?」
ひいいい。めっちゃ怖えよ!
周りの話し声も、急に止んだ。
客も同様、柏原さんは気付かないフリをして、こちらを見ようともしない。
いかんいかん。俺は男。狼だ。
虎に負けるわけにはいかない。
「あんた…翔ちゃんさんっすか」
もう分かっちゃったよ。
あいつ関連だろ。
「た、…や、山田太郎です…」
「この店に、翔っていう名前の店員いるか?」
「き、今日は休みです…」
俺はちらっと周囲を見ると、案の定他のお客もビクビクしていた。
柏原さんは苦笑いをしながら俺を見ていた。
「…そうか」
青年はくるりと背を向けると、颯爽と店を出て行った。
俺は唖然としたが、難を回避したと思ってホッとした。
しかし柏原さんはまだ蒼ざめた顔で、カウンターまでやって来た。
「どうしたの、もう嵐は去ったよ」
「多田さん」
「ああいうお客様もいるから。気を付けるんだよ」
「不味いですって!!今日は休みって言ったら、また来ちゃうじゃないですか!!!」
あ、やらかした。
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