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タクミの独り言4
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多田翔という人間は、複雑な歯車を抱えているような気がする。
第一印象は暗くて、地味。
でも、よく喋るし、俺相手に怒ったりする。
ここまでは普通だ。何の問題もない。
俺が気になったのは、多田翔の潜在意識からの奇妙な行動だった。
俺があの時殴ろうとしたら、この男は反射的に逃がれようとした。
反射神経はどの人間にも備わっている。
でも、俺は本気で殴ろうとしていたわけじゃない。
少しカッとなっただけだ。
それでもあの男は、一瞬意識が飛ぶように、不自然な程体の力が抜けていた。
本人に自覚症状はない。
多分、何かを抱えている人間なんだ。
近くに居ても、目を離した隙に消えてしまいそうな儚さを感じた。
『惚れたら、ダメだからね。』
兄貴があんなこと言った訳が分かった。
そして、兄貴があの男を過剰に心配する訳も。
………でも兄貴、俺が守ってやりたいって思っちまった。
兄貴と一緒にじゃない。
「俺が」守ってやりたいって思ったんだ。
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