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愛とは
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この女は静かに語り始めた。
「……以前、仲原さんとお話ししたことがあるんです。」
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「仲原さん、多田さんと付き合ってないんですか?」
仲原さんは突然の質問に驚いた様子だったけど、ニッコリと微笑んで答えてくれた。
「残念ながら違うんだ。僕は中学の頃から好きなんだけどね。」
「中学?!ってことは、1、2…。」
「約10年の片思い。あははっ!驚いた?」
驚いたどころじゃない。
そんなに長い間、同じ人を想い続けるなんて、正気の沙汰じゃない。
「他の人、好きにならなかったんですか?」
「色んな人とお付き合いしたけどねー。翔ちゃんが特別すぎたかな。」
そう言いながら、仲原さんはどこか遠くを見つめていた。
きっとその恋心は長く、深く、彼の心に根付いているんだろう。
根付きすぎて、彼の大きな部分にさえなっているかもしれない。
「僕はね、一生片思いでも良いんだ。」
「え?」
耳を疑った。
一生片思いじゃ、仲原さんが可哀想だ。
「ふふふ。ここまで来るとねー、恋なんて言ってられないよ。」
「仲原さん…。」
「……僕以上に幸せにしてくれる人と一緒になって、幸せになってくれればそれでいい。僕は、それを見守りたい。」
嘘偽りの無い、心からの言葉だった。
多田さんの話をしている時の、誰よりも幸福そうな仲原さんの表情は、今も強く印象に残っていた。
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