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「仲原さんは、多田さんを幸せにしてくれる人を探してるんです。そんな人、仲原さんしかいないのに。」
「あ、兄貴……。」
兄貴の想いは空を突き抜けていた。
最初から、完全に負けていたのだ。
兄貴の一途な愛、それはきっと誰にも敵わないだろう。
それなのに、兄貴はその事に気付いていない。
流石、俺の兄貴だぜ……。
感動して、さっきとは違う涙が流れた。
「え〜…、泣いちゃうんですか…?引くわ〜。」
「グスッ…、うるせぇ…。」
冬のせいもあって、寒さで鼻水が止まらない。
ティッシュが無いので啜るだけ啜る。
「でも不思議ですよねぇ…。」
「…ズビッ、え゛?」
この女は首を傾げた。
「仲原さんの愛情になびかない多田さん。」
そう言えば…。
「翔は兄貴のこと‘大嫌い’って言ってたぞ。」
しかも即答で。
「アッチャー…。流石に、仲原さんに同情するわ…。」
頭を抱えて呟くこの女に、とても共感した。
翔と兄貴は、どうしてすれ違っているんだ…?
兄貴の、翔に対する過保護さと、依然としてなびかない翔の態度は、何かあるに違いないと思った。
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