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しつこい女は嫌われる
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次の日から、櫻井典子という女は、アイツが来るお昼の時間帯を狙って、うちの店に来るようになった。
「今、仕事何してるのぉ?」
「……。」
「ちょっとぉ、答えてくれてもいいでしょ」
カウンターに腰掛けるアイツに、諦めずに話しかけている。
必死に猫撫で声でアピールするも、無視され続けれていた。
その図太い精神に、感服する。
「…あの女、もう帰ってくれねぇかな」
タクミにも帰り際に取材の声掛けをしている。
何度も断っているも、諦める様子はなかった。
「一応、金払ってくれてる客だからな…」
流石に、嫌いなアイツに同情してしまう。
こんなに執念深く付きまとう櫻井にも呆れるが、それを拒否しないアイツもよく解らない。
さっさと突き放せばいいのに、無視するだけ。
何か特別な感情があるのか…。
「翔ちゃん〜」
俺はアイツに手招きされ、隣にいる女を警戒しながら歩み寄った。
「どうした」
俺が顔を見せると、ダラけたように笑った。
「呼んだだけ〜」
…ヘラヘラするな。
変な女に付きまとわれているコイツに同情すると言ったが、同じような状況の俺に同情してくれる人は居るんだろうか。
「…用件が無いなら、呼ぶな」
「えへへ…」
この時はまだ、俺たちは懐疑の眼が向けられていたことに気づいていなかった。
「………。」
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