アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
悪意3
-
「…ねぇ、図星?」
「……」
「図星でしょう。…あははっ!」
櫻井さんは手を叩いて、愉快そうに笑った。
それを見た俺は、怒り心頭に発した。
しかしカッとなって怒り叫ぶのは、些か大人気ない。
深呼吸をし頭を落ち着かせ、質の良い悪意の言葉を考えた。
「……そういう櫻井さんも、アイツに猛アタックしてるのに、無視され続けて可哀想だな」
「…何ですって?」
ふん、俺は性格が悪いんだ。
悪意をぶつけてくる奴には、慰めの言葉を掛けてやろう。
大抵は、こちらの方が、相手に染み込みやすい。
「良い女はな、嫉妬しないんだ。俺みたいな冴えない男に嫉妬して、余裕を失ってる櫻井さん、もう格下だよ」
「かくっ…!」
「アイツは俺が好きなんだ。お前は眼中にも入ってない。残念だったな」
言い捨てて、ほうきとちりとりを手に持って店の中へ戻った。
後ろで何か喚いていたが、もう耳に入ってこなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 130