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2人だけの世界
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「翔ちゃん…良かった」
「春雄…」
兄貴は翔の手をぎゅっと握りしめ、信じられないが、翔もそれに返していた。
まるで2人だけの世界だ。
翔は以前、兄貴の事が嫌いって言っていた。
でも本当は好きの裏返しなんじゃないか。
「あっ…!」
翔は俺がいた事に気付くと、兄貴の手を振りほどいた。
急いで濡れた目元を擦り、言った。
「タクミ、ごめん。プレゼントのカップ壊しちゃった…」
「そんなの…、代償と考えれば容易いもんっす」
元の翔に戻ったみたいだ。
良かった。
「タクミ…翔ちゃんのこと頼んだ」
兄貴は立ち上がると、何処かへ行く様子だった。
すると翔は寂しそうに、そっぽを向いた。
それに気付いた兄貴は、そっと微笑んだ。
「すぐ戻ってくるから、ね?」
「は、はぁっ?!勝手に何処へでも行け」
あ、あれ。
すげー、翔の顔が赤い。
前まで、兄貴にどんな恥ずかしいことを言われても動じなかった翔が、寧ろそれを突っぱねる位の勢いがあった翔が。
こんなに動揺した姿は初めて見た。
「おい、タクミ。何見てんだよ…」
「な、何も見てないっす…!! 」
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