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思い違い
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「…僕は翔ちゃんに嫌われていることは分かってる。昔の事で、許せない気持ちも知ってる」
思わず息を飲んだ。
全て分かった上で、俺の隣に居たというのか。
返す言葉が見つからず、口の端を結んだ。
「……」
「でも、今回ばかりは許して欲しい。翔ちゃんにとって、昔の僕は屑だったのかもしれない。けど、今は違う。…君のことは、友達として大切に思ってるんだ」
会話の切れ端に混じった、ある単語に耳を疑った。
「ともだち」
恐る恐る聞き返してみる。
すると真っ直ぐボールが跳ね返ってくるように、「うん」と返された。
俺はそんな風に思われていたのか。
てっきり…。
「…俺が好きで、それで付きまとってたんじゃないのか?」
「勿論好きだよ。でも、あの頃とは種類が違う」
「…な」
まさか、俺の勘違いで、自意識過剰だっただけだなんて。
恥ずかしい所の話じゃない、穴が有ったら入りたい。
段々と、頬が熱くなっていくのを感じた。
「あんな事があったし、翔ちゃんを1人にしたくない。心配してるんだ」
「……わ、分かった」
混乱して、流れで返事を了承にしてしまった。
(仕事の帰りに迎えに来たり、勝手に合鍵作ったり、普段からベタベタしてきたり、タクミに対抗心を燃やしたり…)
あれも、これも、全ての行為の前提は友達だったということ。
なんて、なんて恥ずかしい思い違いをしていたんだ、俺。
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