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涎
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『でもあんなに嫌っていたのに、どうして急に気持ちが変化したんですか』
『そ、れは…』
『ん?』
『良く分かんねぇ』
『…言うのが恥ずかしいんですか』
『それは違うけど…。…誰にも言うなよ』
『言いませんよ』
『…俺、昔さ…』
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「…ん」
「翔ちゃん」
肩を揺すられ、飛んでいた意識が戻った。
目を覚ますと、今映画館にいたことを思い出した。
何とか俺から誘って、土曜日に出かけたんだ。
あんなに緊張して、頑張って見ようと決意した映画。
しかし、目の前の画面は既にエンドロールが流れていた。
「悪い…。寝てた」
「涎、ついてるよ」
驚いて服の袖で頬を拭くと、コイツは吹き出したように笑った。
「お前…」
涎なんて付いて無かった。
「あはっは…!寝てたから、ちょっと意地悪。寝顔可愛かったから、全然平気だけど」
「かっ…!」
可愛いって言った。言われた。
人誑しみたいな性格してるけど、絶対俺にしか言わない。
そう分かってるから、嫌なんだ。
「もう、出るぞ…」
赤くなった顔を見られないよう、気を引き締めた。
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