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中学一年生
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「お前がいつも煩いせいで、こっちは落ち着かないんだ」
「それは…ごめん」
多田くんは首をならしながら、気怠げに喋っていた。
教室とは違う雰囲気の彼に、僕は目を離せなかった。
「か、髪」
「は?」
口を突いて出てきた言葉に、自分でも驚いた。
いつもなら上手に会話できるのに、今の僕はうまくいきそうになかった。
「変だよ。切れば……?」
「…はぁ?」
「ご、ごめん…」
何言ってんだ、僕。
多田くんも困惑してるじゃないか。
でも髪の毛が変なのは本音だ。
ちゃんと切り揃えた方が似合っていると思った。
「…僕が切る? 」
「は?」
やっぱり、今日の僕は少しおかしいみたいだ。
風に乗って、どこか遠くへ逃げてしまいたい。
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筆箱に入れておいたハサミを手に取り、シャキシャキと音を立てる。
多田くんは驚いて、振り向いた。
「おい…本当に大丈夫か」
「大丈夫、大丈夫。そこに座ってよ」
多田くんは恐る恐る床に腰を下ろした。
風が強いから、屋上の階段脇で切ることにした。
「切った髪、どこに捨てるんだ」
「風に飛ばすよ。誰かの目の中に入っちゃうかもだけど」
「っふ、最悪だな」
あ、笑った。
目尻にシワが寄って、結構可愛い。
思わず僕の口角も上がった。
「…よし!切るぞ」
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