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「なに…?」
「ちょっと、さとる君と話があってね。僕はもう会社に行くから、少しだけ」
仲原さんは急に部屋に入ってきて、ベッドの前で正座した。
なんだか奇妙な感じだ。
布団に潜ったままだと失礼だと思って、ぼくは顔だけ出した。
「話って…?」
「…話っていうのは、これからのお互いの生活の事について」
「うん」
「僕は大体この時間に家を出て、帰ってくるのは夜になる。会社と相談して、これから早く帰るようにはするけど…」
「その間、1人で家から出ないで欲しい」
「1人でって……」
朝から夜まで、家でひとりぼっち。
なんだかそれって…退屈だ。
「さとる君には申し訳ないと思ってる。1人は寂しいし、つまらないよね」
「……」
「…さとる君は、留守番嫌い?」
「…ぼくは慣れてるから平気だよ」
お留守番慣れてる。
家にパパがいたって寂しかったけど、我慢できた。
「そう思ってね、さとる君にミッションを考えたんだ」
仲原さんはニコニコ笑っていた。
「ミッション…?」
「そう。暇な間、嫌じゃなかったらドリルで漢字と算数をお勉強してて欲しいんだ。それが君のミッション。付箋の所まで終わらせたら、ご褒美をあげる」
仲原さんは、新品のドリルとノート、筆箱をぼくにくれた。
わざわざ買ってきてくれたみたいだ。
…ぼくのために。
「…分かった」
「終わったらリビングにあるゲーム機で遊んだりしてもいいし、本を読んでても良いよ」
「うん」
1人でお留守番。
なのに、あまり寂しくない。
なんだろう、心がホカホカする。
「じゃあ、良い子でお留守番してるんだよ」
「うん、いってらっしゃい」
「行ってきます」
仲原さんは、笑顔で部屋を出ていった。
ぼくも自然と笑っていた。
パパの時と全然違う。
こんなに優しい大人って、初めてかもしれない。
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