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やっぱり、ドリルの自慢なんかしない方が良いかも。
よく考えたら、恥ずかしいし、仲原さんだって疲れてるだろうし。
しかし仲原さんは、そんなぼくを見逃しはしなかった。
「なになに?その後ろに持ってる物は」
「うわぁっ、見ないで!」
持ってたのバレた!
ぼくの抵抗も虚しく、すぐに取り上げられてしまった。
「あ、ミッションのドリルじゃないか。ふむふむ。終わらせたのか、しかも付箋のページ超えてる!」
「………」
静かな沈黙と共に、仲原さんの手は僕の頭の上をそっと撫でた。
「偉いね、こんなに進めてくれるなんて期待以上だ」
「…」
「よしよし〜」
「ちょっ、くすぐったいよ…」
「頑張ったからにはご褒美をあげないとね。さとる君、何か欲しいものあったりする?」
ご褒美…欲しいもの…。
別にそのために頑張った訳じゃない。
でもぼくの願望は確かにあった。
「…ひとりでお家にいるのは嫌だ」
「……」
つい滑ってしまった本当の気持ち。
仲原さんは何も言わなかった。
「っていうのは嘘で…えっと……」
ぼくはひどく動揺して、誤魔化そうとした。
「さとる君」
仲原さんは真顔でぼくを見つめていた。
なんとなくその予感はあった。
(怒られる…。
こんな我儘言うから。
パパだったらぜったいに怒る。)
「あ、あの……」
仲原さんは右手をぼくの顔へ伸ばした。
硬直したぼくは、目を瞑ることしか出来なかった。
(殴られる)
「よし、分かった」
「え?」
仲原さんはぼくを殴ることはせず、ただ右手をぼくの頬に添えたまま言った。
「僕の従兄弟を連れてくる。毎日は無理だけど、遊んでくれるかもしれない。……そうだ、最初からこうすれば良かったかも」
仲原さんはにっこり笑った。
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