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美形×地味平凡
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その名は唇
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最近朝が冷え込む様になってきた。
動く度に冷えた長袖シャツの生地が素肌に当りヒヤッとした。
「ジャケットそろそろ下ろそうかな…」
いや、先にセーターか?何て思いながら、上履を取り出した。
山田は今にも廃部になりそうな写真部に入っている幽霊部員だ。
朝練も無いので、登校時間は遅い。
殺風景な廊下を歩き教室の扉を引けば、中心部に人集りが出来ていた。
人だかりから、頭一つ分飛びでた男は佐嘉 創一。
甘いマスクに、家が資産家でおまけに勉強も出来て隙のない男だ。何をやらせても完璧にこなし、フレンドリーでいつ見ても人に囲まれている。
ま、俺には関係の無い人物だ、
そう思っていれたのは今日までだった。
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放課後、帰ろうと下駄箱に向かう途中で佐嘉に呼び止められたのだ。
「ちょっと、話あんだけど。いいかな?」
急に背後から現れた佐嘉に驚きながら、顔を見るとにこりと笑いかけられた。
女ならイチコロだろうな。まあ俺にはキかないが。
「いや、ちょっとむ「無理とか言わないよね?」
何だか面倒くさそうなので、断ろうとすると遮られた。
「え、」
「山田さ、この後何もないよね?なら大丈夫だよね?」
確かに無いが、何故知っているんだ。決めつけてくる様な言い方に少し腹が立った。
「いや、あるある用事」
暇だが、お前に割く時間はない。とにかく変な事には巻き込まれたくないので嘘をついた。
「なに?用事ってどんな?」
「はっ?へ、てか佐嘉には関係ないよ」
まさか内容まで聞いてくるとは…内心ドキドキしながら、答える。
少し目を泳がせてしまったが、まあこの際逃げれれば何でも良い。
「ホントに用事あるからッ!じゃ、」
軽く手を挙げ早々に立ち去ろうと歩き出す。
気持ち早歩きを意識する。競歩みたいな感じで。
「ンぶッ!!!」
突然背後から手が回り、鼻と口を塞がれる。
首が反るように頭ごと押さえつけられて、身動きが取れない。
「ン〜!!ッ」
そのまま膝裏を蹴られ、前に倒れ込んだ俺を抱えて佐嘉が歩き出す。
「ちょ、何すんだよ!」
肩に担がれ腰をがっつり掴まれ、膝裏に手を掛けられている為、抵抗出来ない。
そうこうしている内にも、体育倉庫のマットに投げられた。
「うッ!!わぁ」
「山田さぁ、唇エロいよね」
「は、ぁ?」
そう言いながら佐嘉は俺の上に馬乗りになった。
「ちょ、退け、ろ..ょ!!」
所詮ビビりな俺は、もう声が裏返りまくっている。
「緊張してるの?かわいーねぇ」
ちゅッ
「ふ、へっ」
な、なな何してんだコイツ
「あんまり可愛いからキスしちゃった」
しちゃったじゃねーよ。全然かわいくねーよ。
「ねぇ、山田ってさ、キス初めて?」
「はっ?!」
ちゅッ
「や、めろ!」
「キスした事ないでしょ?」
「は?てか退けろよ」
ちゅッ
「おや、ふざッけ」
ちゅッ
「ちょっ、おぃ」
ちゅッ
「んっ、やめ」
ちゅッ
「いやっ、だ!」
ちゅッ
ーーー
ちゅっ
「しらっぁ、」
ちゅっ
「しらこと、ぉ」
ちゅっ
「しらことッぉ、ない!」
「そっかぁ、じゃあ僕ファーストキスの相手だ」
「…」
「嬉しいなぁ」
ちゅッ
「んっ!…」
「1928回目のキスも僕貰っちゃたね」
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翌日山田の薄い唇は3倍に膨れ上がった。
勿論、佐嘉の唇も。
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