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翌日も、俺と冬樹君は生徒会室の別室で作業をしていた。
京にあんなことを言われたせいか、今日は話が弾まない。弾まなくしているのは俺なので、余計申し訳ない。
今日から日中にも全校体育という時間が組み込まれ、俺たち以外の生徒は外に出払っていた。
生徒会室からは物音一つせず、代わりに外から生徒の元気な声が聞こえてくる。
ちらりと冬樹君を覗き見る。
彼は障害物競走で使う小物の準備をしている。真面目に仕事をしていて、特に変わった様子も無い。
やっぱり京の考えすぎだ。
「……綴先輩と京先輩って、付き合ってるんですか?」
唐突にやってきた質問に息を詰まらせた。
冬樹君に目をやると、彼は真剣な、それでいて不安そうな瞳でこちら見ていた。
ここで即答しないと、俺はそれを認めたことになる。
これは誰にも言っていないことだ。
言っちゃ、ダメだ。
「付き合ってないよ」
否定した言葉は、意外にも俺を傷つけた。
冬樹君はあからさまにホッとした顔をした。そして頰を僅かに赤らめさせ、胸に手を置いて話し始めた。
「良かった、なんだかそういう噂が多くて、本当はどうなんだろうって思ってたんです」
「そ、そうなんだ」
「じゃあ、僕が京先輩のこと好きでも、問題無いんですね」
ガツン、と、頭を殴られたような、そんな気がした。
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