アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
金扇屋の陰間達
-
昨日のうちにまとめておいた荷物を持って、静かに部屋を出た。起床時間よりも1時間早いこの時間帯、まだ寮は寝静まっている。
部屋に鍵をかけ、その鍵は制服のポケットに入れた。
朝ごはんは家で食べるとして……それでも東京まで車で1時間。お腹が鳴りそうだ。
玄関から寮を出ると、突然ひょいと京が現れた。パーカーにジーンズというラフな格好を見るのは久々だ。
びっくりして体を跳ねさせる俺とは裏腹に、京は大きなあくびをした。
「な、なんでいんの」
「そりゃあ……見送り?」
「俺、この時間に出るって言ってなかったよね」
なぜバレているのか若干恐怖を感じながら問うと、京は「勘」とだけ答えた。
昨日の今日で疲れているはずの京に申し訳ないと思いつつ、勝手についてきたのもまた京だ。しかし、約3日間会えないのだし、この逢瀬はありがたく思うべきか。
「荷物持とうか?」
「いいよ。筋肉痛でしょ?」
俺は右手に持っていた旅行鞄を左手に持ち替えた。
「……筋肉痛が次の日にくるのは若い証拠って知ってる?」
「いや、何も言ってないよ」
唐突に豆知識を披露した京にすかさず突っ込む。なんだかこの感じ久しぶりだ。
昨日暑いくらい晴れていたのが嘘のように、今日は曇り空だった。そのうえ空気が冷えて、霧が発生している。特にここの学園は山の中にあるので、こういう現象が起きやすい。
高等部を通り過ぎれば見えるはずの正門は未だ見えない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
61 / 569