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金扇屋の陰間達
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用事がある人間以外、門の外に立つことはできない。
大きなその門を守衛さんに開けてもらうと、京の名残惜し気な手を払って外に出た。
道路には金扇の車が停めてあり、俺を待っていた。
「じゃあ、また3日後に」
そう言って手を振ると、京も振り返してくれた。少しだけ寂しそうな顔で。
黒塗りの車に乗り込むと、運転手の平田さんが「おかえりなさいませ」と声をかけてくれる。中学校時代から俺の送り迎えをしてくれている50代くらいの男性だ。耳に心地よい低音に、俺は安堵感を覚えた。
車が発進し、山道を下り始めた。これから東京までの1時間、何をすることもない。強いて言えば稽古の復習でもすれば良いのだろうが、なんだかそういう気分でもなかった。
目を瞑ると、すんなり夢が俺を誘って行く。
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