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内と外
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帰ってきてから一度も挨拶に行っておらず心残りだった。母は仕事でいないようなので、親子水入らずの時間を取れるのは明日だけである。
同じ建物内でありながら、陰間が暮らす範囲と両親が暮らす範囲はきっちり分けられており、両親が暮らす建物である真ん中あたりはしんとしている。
やはり男の子が10人も集まった空間は騒がしいのだとここに来るたび実感した。
「お父さん、入ってもいい?」
そう確認してから部屋に入ると、仕事机に向かっていた父が顔を上げた。俺の姿を見て、うんうんと頷き微笑む。
「おかえり。体の調子はどうだ? もう万全なのか」
「うん、1ヶ月休めばさすがにもう元気だよ。だから3日目に仕事を入れてくれても良かったのに」
そう言うと、父はとんでもないと首を振った。
「柊が倒れたことについて京君から詳細を聞いたときは、千代子と肝を冷やしたぞ。あいつはやっぱり学校をやめさせて連れ戻すなんて言いだすし」
母は昔から心配性だ。
特に体が弱い俺が生まれてから悪化したらしい。愛されているのだろうと思うが、あまりに過剰反応するので苦笑してしまう。
「あ、お父さん、ちょっとね、寛太のことなんだけど……」
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