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夏の始まり
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HRを終え、みなぞろぞろと教室を出て行った。
陸と要と挨拶を交わしてから、京の教室に向かう。しかし、京は先に終わっていたらしく廊下に立っていた。
「行くか」
寮に戻ると、事前に荷物を詰めておいたキャスターバッグだけ持ってさっさと門に向かって歩き出した。
ほとんどの生徒は終業式の日に帰省する。辺りはキャスターを転がす音と蝉の音に包まれていた。
「あっついね」
「もうこれ異常気象だろ」
「今から南下するとか気が重い……」
「都心じゃないだけラッキーだな」
「俺の家とか今頃熱せられて溶けてるんじゃないかな」
何の気なしにそう言うと、京は「ははっ」と笑った。
「確かに、綴の地元は酷い」
「壁に囲まれてるから尚更空気が篭るんだよね」
俺の家が都心にあるのに対し、京の家は東京郊外にある。遠くに山々が連なっているのが、その家から見える。
俺の家からはかろうじて富士山が見えるくらいなので、ちょっと羨ましい。
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