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後ろ向きと君の覚悟
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京の家の敷地は俺の家の比ではない。
俺の家に加え別荘やら別邸やらまですっぽり収まるくらいには敷地が大きい。そしてこれの他にまだ日本各地に土地を持っているというのだから恐ろしい。
京の家の財力や権威、地位は、やはり学園でもトップクラスである。
車は敷地の門を抜け、家に向かって走る。左右には木々が植えられ、一種森の中にいるような気分になる。門の外は閑静な住宅街だというのに。
少し走ると、真っ白な大きな屋敷が見えてくる。大きな扉の前には、既に使用人らしき男女が待ち構えていた。
「おかえりなさいませ、京様、綴様」
車のドアが開けられ順に降りると、すかさずそんな言葉が彼らの口から紡がれる。京は「ただいま」と当たり前のように言って、彼らが開けた玄関をくぐっていった。
「おじゃまします」
玄関ホールは吹き抜けで、目の前には二階に続く階段が見える。この空間だけでちょっとした演奏会が開けそうだ。
京は迷いなく2階へ進み、俺はそれについていく。
四角の螺旋階段を上ると、二階もまた日当たりが良くクリーム色の壁が爽やかさと温かみを同時に演出していた。
階段を上って左手に曲がった突き当たりに京の部屋がある。正確には、『京の友達を招待する部屋』で、その奥に京の寝室が続いているのだが。
『招待する部屋』は広く、中央にソファが向かい合うように置かれその間にローテーブルが置いてある。大きなテレビが設置され、隅にはお茶を用意する用の簡易的なキッチンがあった。
ソファに鞄を置くと、京はふうっと息をついて深く腰掛けた。俺がその向かいのソファに座ると、むっとした表情になる。
「なんで隣じゃないの」
「え、暑くない?」
「空調効いてるだろ」
「いや、なんか密着してるとさ……」
そう言って目をそらすと、京は自らの隣をポンポンと叩いた。目でこっちに来いと訴えている。
まぁいいか。ここで意固地になる理由は特にない。ただ、いくら空調が効いているとはいえちょっと暑苦しくなるような気はするが。
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