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後ろ向きと君の覚悟
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俺は体勢を仰向けに変えて、その可愛らしい顔をじっと見つめた。
よく考えればこんなに近距離で綴の顔を見れる日はそんなにない。
彫りが深くなく、全体的に小ぶりな顔のパーツ。目は大きすぎず小さすぎず程良いもので、不自然ではないところが気持ち良い。肌は白く透明感があり、これで美容に気を使っていないというのがまた罪な奴だ。
色素の薄い茶色味のある髪。細くてサラサラしているので、中学生のときは「将来ハゲるかもしれない」と顔を青ざめさせて俺に相談してきたことがある。
実に可愛い悩みである。
俺は綴の髪に手を伸ばし、それを梳いた。さらりと通って触り心地が良い。
綴といると、楽しくて心地よくて仕方がない。ただの男友達のように感じていたかと思えば、突然ドキドキさせてきたり、それなのに家族のような安心感もあって、彼の前では俺はただの「京」でしか無いのだとそう思える。
そんな気持ちになるのは幼馴染だから? ずっと近くにいたから?
なんだか、どれも理由にするには足りない気がした。
綴という人間と、俺という人間が、たまたま、ちょうど、偶然、ぴったり収まるような形で生まれてきたのだろうか。
そしてそういう人間は、どれだけ離れていても、人生でいつかは出会えるものではないかなんて思うのは、ちょっとロマンチストすぎるだろうか。
俺らしくもない考えだな。
今があるのなら、その理由はなんだっていいのに。
俺は上体を起こすと、そのまま綴の唇にキスを落とした。
1度目のキスでは目を覚まさない眠り姫に、もう一度、今度は綴が欲しいとでも訴えるように。
「……ん」
声を漏らした綴のまつげが揺れた。色素の薄いその目が開かれると同時に焦ったように開いた綴の口をこじ開けるようにして、俺は綴の体をソファに押し倒した。
「んっ、んんっ! ふぁ……あ、ぅ……ん……!」
鼻から通るような声が聞こえる。いつもの声のトーンよりも少し高くなったその声をもっと聞きたくて、もっと攻め立てた。
今離れたら、きっと非難の声がその小さな口から溢れるに違いない。それもそれでいいのだけど、今はなんだか、あれだな。
だんだん中心に集まってきた熱のほうが問題だな。
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