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幽閉
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門柱から伸びる石橋はそれほど長くはなかったが、真下は深い谷底になっていた。
タケルは渡るのに少し不安はあったものの、特に何事もなくじきに扉の前へとやって来れたことにホッとする。
全面の石壁は長年の風雨に晒され、どこかどす黒く、小さな窓は閉塞感を覚え、赤茶色の屋根は血のように見えた。そんな一種異様な古城の両扉は、重く監獄の鉄扉のようにタケルの目には映ったのだった。
高支那はその扉を当たり前のように開ける。
鍵は掛かっていないようだ。
ここがいったいどこなのか、この建物は何なのか、考える間もなく、高支那は強引にタケルを中へと引き込むと、乱暴に床へ放り投げたのだった。
「…っ…!」
城のエントランスであろう床に投げ出されたタケルは、睨み付けるように高支那を見上げる。
高支那は相変わらず冷めた目でタケルを見下ろしていた。
そして高支那が後ろ手でゆっくりと扉の鍵を閉めたのを見たタケルは、ギクリと一瞬怯んだように息を飲んだ。
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