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謎の靴音
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生きている人間の生気はまるで感じられないのに、見えない得体の知れない力で無理矢理押さえつけられている。そして身体はその何者かの吐息を感じ、生ぬるさを感じ、自分の身体は正直にそれに反応する。
それがタケルに更なる混乱と恐怖を植えつけた。
自分の身に何が起こっているのかわからないことほど怖いものはない。
得たいの知れない強大な力に押さえつけられていても抵抗だけは諦めなかった。いや、自分では諦めるつもりはなかった。だが――
喉元から耳元へヌルリとした舌が這い、そして耳朶を舐めるように甘噛みされると、背筋からゾクリとする快感とも悪寒ともつかぬ妙な感覚が身体中を走り、下半身へと伝わる。
思わず抵抗が緩み、無意識のうちに身をよじるタケル。
それに追い討ちをかけるように、今度は生温かい人の手の感触、指の感触が首筋を撫でる。
押さえ付けられていた片手が自由になったタケルはすぐさま蠢く指を阻止するように強く払いのけた。そして目の前の暗闇に鋭い視線をやり一喝する。
「お前、誰だっ!」
――返事は、ない。
と思った瞬間――
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