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男の正体
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こちらに背を向け、胸の高さの囲壁に体を預けてどこか遠くを見ているようだった。
ここからの眺めだと、おそらく森や湖が一望出来るだろう。結構な山奥だと思っていたが意外と雪は降らない地域らしい。
タケルはしばし足を止め、高支那の後ろ姿を見つめていた。すると、ふいに思わぬ言葉が投げかけられた。
「どうした?こっちに来たらどうだ?」
振り返りもしない高支那のそれはどこか独り言のようにも聞こえた。
タケルは躊躇した。
昨夜の高支那の攻撃的な記憶が過ったからだ。
だが今の高支那は相変わらずの低く冷めた声は変わらないが、落ち着いており、そこまで危険な感じはしない。
タケルは無意識に、片手でもう一方の腕をコートの上から掴んだまま、ゆっくりと足を踏み出した。
高支那の隣に立つと同時に、冷たい風が頬を掠める。
気づくと高支那がまっすぐこちらを見つめていた。
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